17.片思いリバーシ
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ー…バンッ!!!!!!!!!!
「…ハア…ハア…和~泉~…!!!!」
「おお、悪い悪い、そろそろ開けに行こうかと思ってたんだけど取り込んでたわ。」
「……殺す気か……!!この馬鹿!!!!!!!」
「あはは、そう怒るなよ~てかあの縄引きちぎって扉蹴破ったの?さっすがやるな~俺の体…」
「あ・や・ま・れええええ・・・・・!!!!!」
「ハイハイハイハイ申し訳ございませんでした~~~~!!!!」
ヒナは謝る和泉を横目に怒り心頭な様子で水を口に流し込んだ。
半日も倉庫に閉じ込められていたヒナは時間の感覚が分からなくなっていたようで、キョロキョロとあたりを見回した。
「もうみんな帰ったよ、佐奈もな。」
「……和泉お前……佐奈に何かしたんじゃないだろうな…。」
「………しようと思ったんだけどねー…ご期待に添えずヒナは佐奈に拒否されました。」
「え……?何で…?」
「なーんてね、うっそー。」
「……。」
和泉の嘘に思わず慌てたヒナを見て和泉はケタケタと笑うと、ソファに身を預けて天を仰いだ。
「……俺は"俺"を見てる佐奈とやりたいんだよ。」
「いや、やらせないけど。」
「黙れクソメガネ。」
和泉は目の前にいる自分自身にガンつけると、なんだかそれが可笑しくなってフッと笑った。
「お前の代わりでもいいから佐奈に好きって言われてみたかったんだけどなー…あれはダメだな、相当なドMじゃねーと無理だよ。
それにヒナのふりしてやってさ、後で中身が俺だったって分かった時の佐奈思い浮かべたら…出来ねぇよな……」
「……和泉…。」
「にしてもこのまま戻れなかったらさ、佐奈はどっち選ぶんだろうな?やっぱ中身がヒナのお前かな?」
「…さあ。」
「そうなったら佐奈は俺の性格が無理だったってことだよな、いや、違うか。中身がヒナなら見た目はどうでもいいって事になるだけか!!はは…」
不安と胸の痛みをかき消すように言葉を並べ続ける和泉、そんな和泉を見て、ヒナはぽつりと言葉を返した。
「中身がお前だって分かってショックを受ける程佐奈はお前を嫌ってない。」
「え…?」
「それにお前の方が佐奈を幸せに出来るって言うのも正しい。俺はお前みたいに、あいつと同じ目線に立って笑ったり泣いたりしてやれる程器用じゃない。」
「なんだそれ…敵に塩を送ってるつもりか?それとも俺がチビだって言いてぇのか?」
「何言っても皮肉に聞こえるならもういい…。」
ヒナはそう言って呆れ顔で冷蔵庫に食べ物を取りに向かうと、和泉はヒナに見えないように俯き嬉しそうに小さく笑った。
「……やっぱ俺諦めねえからな、佐奈の事。」
「……勝手にしろ。」
ヒナがそう言うと、和泉は机に置いておいたものをヒナに差し出した。
「それはそうとこれは今日の詫びだ、お前がしたって言って佐奈に渡せよ。」
「………これ…。」
和泉が差し出したのは、少しサイズを小さくして綺麗に修理された佐奈の木箱だった。
それを見たヒナは、少し驚いたような顔で和泉を見た。
「軍にいる時、色々木で彫って作ったりしてたから得意なんだよこういうの。」
「なら和泉が自分で佐奈に渡せ、俺は何もしてない。」
「手柄横取りしてまでポイント稼ごうだなんて思ってねーよ、まあこれでおあいこって事にしてくれよ。」
「…?」
和泉はそう言うと無理やりヒナに木箱を押し付け、携帯と財布をポケットにねじ込んだ。
「じゃあとりあえず俺は帰るぞ、ベタに階段落ちをもう一回なんてこんな夜にやりたくねぇ。」
「……ああ、そうだな。」
「…………あ!!!!!!」
「?」
帰ろうと入り口のノブに手をかけた和泉はハッと何かを思い出したように声を上げ、恐る恐るヒナの方を振り返った。
「ヒナ…家まで付いて来てくれない?そんで朝迎えに来て?」
「…………は?」
「頼むよ~~~俺のマンション鍵が指紋認証だから今の俺が帰っても入れねえんだよおおお~~~!!!」
「知らん。ネットカフェにでも泊まれ。」
「この薄情クソメガネ!!!!」
「今は眼鏡はお前だ。」