17.片思いリバーシ
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「じゃあ朝礼始めるぞ~…ってあれ、和泉は遅刻か?」
皆が揃った事務所を見回した孝之助は、姿の見えない和泉に呆れたようにハアと溜め息をついた。
「あ…えっと和泉は…体調が悪いってさっき連絡ありました。」
「体調が悪い?あの万年風邪も引かない超健康体のバカが!?」
「何か悪いものでも拾い食いしたんでしょう、ほら、食い意地だけは張ってますから。」
「あ~なるほどな、それなら納得だ。」
「何だとてめえら…」
「「え?」」
思わずついて出たいつもの言葉に、和泉は急いで口を抑えた。
何でもないですと言って挙動不審に頭を下げると、孝之助らは不思議そうに和泉の方を見た。
「…てかヒナお前なんで和泉のデスクに座ってんの?席間違えてるぞ。」
(げっ……!!!いつものクセでつい…!!!)
「どうせヒナお前昨日も夜遅くまで作業してたんだろ、仕事場に寝泊まりしてるから気持ちは分からんでもないが…あんま寝不足だと倒れちまうぞ。」
「…すみません…気を付けます…。」
なんだかよく分からないが寝不足ということで難を逃れた和泉がホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は山のような書類を渡された。
その書類にはあきらかにヒナにしか理解できない依頼内容がびっちり記載されており、和泉は一行目ですでに全く内容を理解出来ないことを悟った。
「寝不足でキツイとこ悪いんだがネット関連の依頼が多くてな…悪いが頼むぞ。」
「…は…はーい……。」
朝礼が終わり、埋もれる書類の山をぼんやりと静観していた和泉に、佐奈が心配そうに声をかけた。
『ヒナさん…大丈夫ですか?私に出来ることがあれば手伝いますから…!!』
「佐奈…」
自分を見上げて嬉しそうに笑う佐奈の顔は、自分がいつも見ているそれとは明らかに違っていた。
好きな人に向ける顔とでもいうのか、その事に少し胸が痛みながらも、和泉はもやもやした思いを無理やりかき消した。
「じゃあ…後で部屋に来てもらってもいいか…?手伝ってもらいたいことがある。」
『はい、もちろんです!!私今日は暇なんでお手伝い沢山しますよ!!』
そう嬉しそうに言う佐奈に笑顔を向けると、和泉は少し気になっていた事を佐奈に尋ねた。
「あ…そういや佐奈、昨日の木箱どうした?あの割れたの…」
『ああ…あれはもう捨てちゃいました…もうバキバキに割れて直せなかったので…今度からは気を付けますね!!』
「ああ…いや…そっか…分かった。」
『じゃあ報告書孝之助さん達が出掛ける前に渡さなきゃなので…渡してタマに餌やったらすぐお手伝いに行きますから!!』
「うん、分かった……。」
佐奈はそう言って少し寂しそうに笑うと、パタパタと報告書を取りに向かった。
そんな佐奈の後ろ姿を和泉はぼんやりと眺めると、和泉は一人書類の山を持ってヒナの部屋へと入って行った。
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ー…トントン
『ヒナさん、失礼します。』
「あ…ああ…。」
ヒナの部屋に入ってきた佐奈は、何を手伝いましょうと言いながら和泉を見上げた。
正直心臓の音が佐奈に聞こえてしまうんじゃないかと言うくらい緊張していた和泉だったが、
いつもより上から見る佐奈は本当に可愛らしく見え、邪な考えを抑えるのもあっさり限界に達していた。
「佐奈……キスしてい?」
『……いいですよ?』
そう言って佐奈ははにかみながら笑うと、自ら目の前のヒナに口づけた。
これを機に完全に理性というネジが弾け飛んだ和泉は、佐奈を引き寄せた。
『あっ…でもこれ以上は仕事中ですし…また今度に……』
「俺のこと助けてくれるんだろ?じゃあ癒してよ。」
『え?ひゃ…あ…っ…!!』
和泉は恥ずかしがる佐奈のブラウスをボタンをはずし、露になった綺麗で白い胸に唇を這わせた。
口でこそ仕事中とはいえども、和泉が舌で体をなぞるたび佐奈はビクッと体を反応させた。
『…孝之助さん達が…帰って来るかもですよ…?』
「二人とも今日は夕方まで出先で仕事で直帰するってさっき言ってた。」
『でも…お客さんが…来るかも………んっ……!!』
和泉は佐奈を机の上に座るように追いやると、佐奈のスカートをたくしあげ指を入れた。
『まっ……待って下さい……やっ……あっっ…!!!!』
「そんな声出したら…誰か来たら聞こえるぞ。」
『イ…イジワルな事言わないで下さい……!!』
「可愛い…佐奈、大好き…」
『私も大好きです………ヒナさん…』
「!!」
佐奈がそう言って"ヒナである和泉"の胸に顔を埋めると、和泉はふと我に返ったように佐奈から手を離した。
『…ヒナさん?』
「あ…いや…なんでもない…やっぱ…仕事するか、沢山あるしな。」
『………?は…はい…!!』
突然の態度に佐奈は不思議そうな顔で目の前の後ろ姿を見つめると、乱れた衣服をそそくさと直した。
和泉はそれから一人で集中させてとだけ伝え佐奈を遠ざけ、佐奈が帰る時間になるまで部屋にこもっていたのだった。