17.片思いリバーシ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ー…ピーチチチ……
「ふああ~…眠て…ん?」
「……。」
次の日の朝、眠たそうに階段を上り出勤した和泉の前に現れたのは、事務所の玄関から現れたヒナだった。
「……ふん、どけよ。」
「………そっちがどけ。」
「ああ?!」
階段の細い通路でいがみ合う二人。どちらも一歩も引かず、和泉はイライラしながらヒナにつっかかった。
「てめぇさぁ…昨日のあれなんだよ、佐奈がかわいそうだろうが。」
「…和泉には関係ない。」
「あーハイハイそうですねーでもな、余裕こいてられるのも今のうちだぞ。俺の方が絶っ対に佐奈を幸せに出来るんだからなっ!!」
「………。」
「いいからどけっ!!!!!!!!!」
ー…グラッ…………!!
「「…えっ?」」
和泉がヒナの胸ぐらをつかんだ瞬間、またも大きな揺れが二人を襲った。
下から突き上げるような大きな揺れに、その瞬間二人は階段でバランスを崩し大きな音を立てて階段下までもつれるように転げ落ちた。
ー…ガタガタガタガタ!!!!!!ガシャーン!!!!
「…いっ…てぇ…。」
「……。」
揺れがおさまり、痛む頭を抑えながら二人は起き上がった。外傷こそなかったものの、二人はすぐにある異変に気がついた。
「てめえ…何こけてやがるんだよ!!痛いだろうが!!」
「そっちが掴んだのが悪い。」
「…………ん?」
「え……。」
「…えええええええええ!!!!?」
「な…何で俺が俺の目の前にいるんだよ…!?何…死んじまったの俺…?」
「俺の前にも俺がいる…。」」
「おい…これってまさか…あのベタな………?」
転げ落ちた二人の目の前には目を丸くする自分自身。
どうも中身が入れ替わってしまったらしい非現実的なありえない現況に、二人は驚き言葉を失っていた。
「ど…どうすんだよ!!……ってちょっと待てよ………俺…今ヒナなんだよな…?」
「…?」
髪や顔を触り自分の体がヒナになっていることを確認した和泉は、その瞬間ある考えが頭をよぎった。
そして和泉はおもむろに立ち上がると、不思議そうにする和泉、もといヒナを有無を言わせず羽交い締めにした。
ー…ガタガタガタッ!!!!!バンッ!!
「…い…和泉…何を…!?」
「ヒナ…この体使いもんだぜ…リーチが長ぇから便利だわ。」
「…ふざけてる場合か、離せ。」
ー…ドスッ!!!!!!!
「っ…!!な…」
「…ふざけてねえよ、せっかく入れ替わったんだ…借りるぜ、ヒナ。」
「……!?」
………………ドサッ…
倒れこむヒナを和泉は紐で縛り上げると、鍵のかかる事務所の物置に気絶したヒナの身を隠した。
「悪いなヒナ…どうせ一生このままなはずねえんだ、少しだけ…。」
ー…バタン
『あ、ヒナさんおはようございます!!コンビニですか?』
「おう…佐奈、いや…今戻るとこ。」
『?』
そう言って出勤してきた佐奈に笑顔を向けると、和泉は佐奈と共に事務所に戻っていった。
もうすぐ皆の出勤してくる八時半、
和泉は突然手に入れた高身長に戸惑いながらも、皆に気付かれぬよう事務所の扉を開いたのだった…。