02.夢のある浮気調査
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ー…ピー…チチチ…
「いいか佐奈!!探偵事務所の大半は…浮気で始まり浮気に終わる!!」
ー…ピー…チチチ…
うららかな朝、探偵事務所の仕事内容を熱く語る孝之助に、佐奈が引き気味に答えた。
『…それは…夢がないですね…。』
「ばっか探偵なんて人間のドロドロしたとこばっか見るお仕事なの~夢なんて見れないの~お前の好きなコナン君だってどこ行ったって怨恨ドロドロの殺人事件出くわしてばっかだろ?そんなもんなんだよ。」
『…コナン君はともかく…いや…きっと夢だって見れます!!浮気が無いって判明することだって…!!』
必死につっかかる佐奈に、ケラケラ笑いながら和泉が言った。
「佐奈は夢見る少女だね~♪まだサンタとか信じてるっしょ。」
『…サンタさんもいますよ…だって昔手紙書いたら返って来ましたもん。』
「佐奈ちゃん、サンタさんなんて本当にいたらあれは領空侵犯、住居不法侵入等々で捕まっちゃうんだよ?」
『九条さん!!笑顔で嫌な事言わないで下さい!!!!』
入社して早一週間。
佐奈はこの事務所の奇特な同僚達とも次第に打ち解け始めていた。
皆個性こそ強いもののあっけらかんとしていて、新入社員で紅一点の佐奈にも優しく接してくれていた。
「…話は逸れたが浮気調査は探偵事務所で一番多い依頼なの。不況にも左右されないマーケット、それが浮気だ!!浮気しない男なんて…存在しません!!」
『します!!』
「しませんっつ!!!!!!」
ー…ガシャーーーーン!!
「!?」
言い争う孝之助と佐奈に割って入るような破壊音に、二人は隣の応接室を見た。
「もういい!!もう分かったわよ!!他人事だと思って…!!」
応接室から女の人の叫び声が鳴り響いたかと思うと、勢いよく依頼者と思われる女性が飛び出していった。
「…何事?」
孝之助が応接室を覗くと、ヒナが辺り一面に散らばった、投げつけられたらしいお札を拾いながら淡々と答えた。
「浮気の証拠隅々まで並べ立てたらキレられました。」
「んなっ…。」
応接室の机には依頼者の旦那の浮気現場写真がこれでもかと並べられていた。
そのあまりの情け容赦のない現場の様子に、孝之助はハアと盛大にため息を吐いた。
「ヒナ…もっとこう…ソフトに説明出来ないかな…?デリケートな問題なんだし、客…来なくなっちゃうよ…。」
(さっきはマーケットだって言い放ってたくせに…。)
「大丈夫ですよ孝之助さん。あの依頼人、何度証拠見せても信じてくれなくて再調査今回で四度目ですから、そのうちまた来ますよ。」
「よ…四度目…!?」
肩を落とす孝之助に九条が淡々と説明すると、ヒナは拾ったお札を孝之助に渡し部屋へと戻って行った。
これといって相変わらず気にもしていない様子のヒナに佐奈が気圧されていると、孝之助は頭をガシガシとかきながら佐奈を見た。
「やっぱヒナに対応まかせたのが間違いだったか…あいつは愛想ってもんが欠落してるからなあ…。てなわけで今の所愛想しか使い道の無い佐奈はヒナと共に次の依頼受けるようにっ!!以上!!」
『う…愛想しかって…!!……はい…。』
まったくもってその通りの言葉に反論すら出来ない佐奈は首を縦に振ることしか出来ず、
すごすごと浮かない足取りでヒナのいる部屋へと向かった。
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