第一話 戦国時代の新入社員
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
......................
ー…バタバタバタ…
「待って!!返して!!」
「うわっ、ロボット女が来たぞ~逃げろ~!!」
「ま…待って!!」
バタバタと足音を立てて楽しそうに逃げていく男の子たちと、それを涙ながらに追いかける女の子。
男の子の手には、一体の小さなブリキのロボットが握られていた。
「毎日ロボットロボットって…気持ち悪いんだよロボット相手に一人で喋って、このブース。」
「なあなあ、こいつラジコンにくくりつけて飛ばしちゃおうぜ。」
「や……やめてー!!」
ブラブラとロボットを振り回す男の子に少女はそう叫ぶと、男の子の手からロボットを取り返し胸に抱え込んだ。
ロボットを守るようにうずくまる少女に、男の子たちはそれを再び取り上げようと揉み合いになった…その時だった。
ー…バチッ!!!!!!!!!
「いてっ……!!な…なんだ今の!?」
「なんだこれ……壁…?」
「………。」
少年達の眼前で少女を守るよう突如立ち塞がった見えない壁。
その奇妙な現象に、男の子たちは変なものを見るような目で少女を見下ろした。
「……きっもちわりーやつ。もういいや、行こうぜ。」
「………。」
少年たちはそう言い捨てると、また別の遊びを見つけたようで一目散に少女の元から走り去っていった。
少女はその後姿をホッとした様子で見送ると、胸に抱えていたロボットを愛おしそうに抱き上げた。
「ろくちゃん…大丈夫…?」
「……ハ…ハ…ハイイイイイ…」
「ろ…ろくちゃん!?ろくちゃん!!!」
"ろくちゃん"と呼ばれたそのロボットは、かすれた音声を発すると、すぐに電池が切れたようにプツリと動かなくなってしまった。
そんなロボットを前に少女は慌てふためき、急いで家の一角にある、祖父の住む掘っ立て小屋に駆け込んだ。
......................
ー…ゴトッ…
「よし、これでいいやろ!!電源入れてみり。」
「う…うん…」
「…アリガトウ。」
「ろくちゃん!!良かった…!!」
祖父から修理されたロボットは目を開けそう言うと、トコトコと少女のもとに歩いた。
その様子に少女はホッと胸をなでおろし、愛おしそうにロボットを抱き締めた。
「まったく、またコイツ守っていじめられたんか。怪我しとるやないか。」
「…大丈夫だよ、だって、私にはろくちゃんがいてくれればいいんだもん。それにね、今日もおじいちゃんから貰ったこのお守り、これが守ってくれたんだよ!!」
「………。」
少女はそう言うと持っていた小さな青い石を握りしめた。
その言葉に祖父は少し寂しそうな顔を浮かべたが、すぐにニッと明るく笑ってみせた。
「…そりゃそーや、そのお守りはじいちゃんの研究の結晶。これからもずっとお前を守ってくれるようにもっともっと改良せんといかんな!!
それにしても…その"ろくちゃん"って名前は何とかならんとか?」
「なんで?だって"人工知能搭載型ロボット試作6号機"って長くて呼べないよ。だから"ろくちゃん"!!」
「いや、何もそれをもじらんでもよかよ?なんかこう…その名前聞く度、失敗を5回も重ねた思い出がひしひしときてなぁ…ほらもっとよか名前が‥」
「ロクチャンガイイデス。」
「お前まで気に入っとるんかい!!」
「あははは!!」
明るく優しい祖父と、その祖父に作られた人工知能を有した小さなロボット。
この二人とともにいる時間は少女にとって何よりも幸せなものだった。
「まあいいわ、とりあえず細かいとこも修理しとくけん、ろくは今日はここに置いとってな。」
「分かった!!じゃあ…また明日来るからね、ろくちゃんばいばーい!!」
「ジャアマタアシタ、バイバーイ。」
ー…バタン…
「……さて…と。」
少女の背中を見送った祖父はろくを傍らに置くと、何か覚悟を決めたような表情で青い石を手一杯に握りしめた。
「ろく、お前はここで何が起こったか見とってくれ。わしになんかあったら後のこと…頼むけんな。」
「ハカセ…?ドコニイクノデスカ…?」
「どうしても……助けたい奴がおってな。」
少女の祖父はそう言うと、石から出たまばゆい光の中に消えていった。
傍らでその全てを見届けた、小さなロボット。
そのロボットと少女が、明るく優しい祖父の笑顔を見ることは
もう、無かったのであった…。
.
ー…バタバタバタ…
「待って!!返して!!」
「うわっ、ロボット女が来たぞ~逃げろ~!!」
「ま…待って!!」
バタバタと足音を立てて楽しそうに逃げていく男の子たちと、それを涙ながらに追いかける女の子。
男の子の手には、一体の小さなブリキのロボットが握られていた。
「毎日ロボットロボットって…気持ち悪いんだよロボット相手に一人で喋って、このブース。」
「なあなあ、こいつラジコンにくくりつけて飛ばしちゃおうぜ。」
「や……やめてー!!」
ブラブラとロボットを振り回す男の子に少女はそう叫ぶと、男の子の手からロボットを取り返し胸に抱え込んだ。
ロボットを守るようにうずくまる少女に、男の子たちはそれを再び取り上げようと揉み合いになった…その時だった。
ー…バチッ!!!!!!!!!
「いてっ……!!な…なんだ今の!?」
「なんだこれ……壁…?」
「………。」
少年達の眼前で少女を守るよう突如立ち塞がった見えない壁。
その奇妙な現象に、男の子たちは変なものを見るような目で少女を見下ろした。
「……きっもちわりーやつ。もういいや、行こうぜ。」
「………。」
少年たちはそう言い捨てると、また別の遊びを見つけたようで一目散に少女の元から走り去っていった。
少女はその後姿をホッとした様子で見送ると、胸に抱えていたロボットを愛おしそうに抱き上げた。
「ろくちゃん…大丈夫…?」
「……ハ…ハ…ハイイイイイ…」
「ろ…ろくちゃん!?ろくちゃん!!!」
"ろくちゃん"と呼ばれたそのロボットは、かすれた音声を発すると、すぐに電池が切れたようにプツリと動かなくなってしまった。
そんなロボットを前に少女は慌てふためき、急いで家の一角にある、祖父の住む掘っ立て小屋に駆け込んだ。
......................
ー…ゴトッ…
「よし、これでいいやろ!!電源入れてみり。」
「う…うん…」
「…アリガトウ。」
「ろくちゃん!!良かった…!!」
祖父から修理されたロボットは目を開けそう言うと、トコトコと少女のもとに歩いた。
その様子に少女はホッと胸をなでおろし、愛おしそうにロボットを抱き締めた。
「まったく、またコイツ守っていじめられたんか。怪我しとるやないか。」
「…大丈夫だよ、だって、私にはろくちゃんがいてくれればいいんだもん。それにね、今日もおじいちゃんから貰ったこのお守り、これが守ってくれたんだよ!!」
「………。」
少女はそう言うと持っていた小さな青い石を握りしめた。
その言葉に祖父は少し寂しそうな顔を浮かべたが、すぐにニッと明るく笑ってみせた。
「…そりゃそーや、そのお守りはじいちゃんの研究の結晶。これからもずっとお前を守ってくれるようにもっともっと改良せんといかんな!!
それにしても…その"ろくちゃん"って名前は何とかならんとか?」
「なんで?だって"人工知能搭載型ロボット試作6号機"って長くて呼べないよ。だから"ろくちゃん"!!」
「いや、何もそれをもじらんでもよかよ?なんかこう…その名前聞く度、失敗を5回も重ねた思い出がひしひしときてなぁ…ほらもっとよか名前が‥」
「ロクチャンガイイデス。」
「お前まで気に入っとるんかい!!」
「あははは!!」
明るく優しい祖父と、その祖父に作られた人工知能を有した小さなロボット。
この二人とともにいる時間は少女にとって何よりも幸せなものだった。
「まあいいわ、とりあえず細かいとこも修理しとくけん、ろくは今日はここに置いとってな。」
「分かった!!じゃあ…また明日来るからね、ろくちゃんばいばーい!!」
「ジャアマタアシタ、バイバーイ。」
ー…バタン…
「……さて…と。」
少女の背中を見送った祖父はろくを傍らに置くと、何か覚悟を決めたような表情で青い石を手一杯に握りしめた。
「ろく、お前はここで何が起こったか見とってくれ。わしになんかあったら後のこと…頼むけんな。」
「ハカセ…?ドコニイクノデスカ…?」
「どうしても……助けたい奴がおってな。」
少女の祖父はそう言うと、石から出たまばゆい光の中に消えていった。
傍らでその全てを見届けた、小さなロボット。
そのロボットと少女が、明るく優しい祖父の笑顔を見ることは
もう、無かったのであった…。
.
1/6ページ