その雨の名は


ふと、脳裏に嫌な"記憶"が蘇る。



雨の中、呆然と立ち尽くす"私"。


転んで、立とうとして、左腕がないと気づいて
もう戦えないと思った"私"


そして……殺された、"私"


「……っ」
思わず、ユウサリの肩口に顔を埋める。心なしか、左腕が痛いような気がした。
「時雨?」
……なんで、このタイミングで俺は"私"を思い出すのだろうか。


なんだよ、今日の俺は。……ホント、情けない程弱々しいじゃねぇかよ………。

そう思って、強がろうとすればする程、余計に心が痛む。
自然に、ユウサリの服を掴んでいた手に力が入る。

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