遥か遠い記憶
何処かの世界のとある国の外れにある森。
その森には、森の種族とも云える、エルフ達が住んでいた。
"僕"は…ハーフエルフだったから、忌み嫌われていたけれど。
姿は人間。でも、魔力や能力、そして寿命はエルフと同じ。
その世界では…何処の国でも、殆どのヒトがハーフエルフを一番嫌った。
だから、自然に僕も…自分から人間やエルフを避けるようになった。
人間は僕らを迫害するから
エルフは僕らを追い出そうとするから
…僕は
どちらも嫌いだ…!
僕に両親はいない。
理由は簡単。エルフ達の掟のせい。
…両親は、人間とエルフだった。
所謂、禁じられた恋をして、禁忌を犯した。だから、その罰として殺された。
禁忌。それは、エルフは同族以外の者と結ばれてはならないという事。
もし、子供が生まれたら、その子が13歳になってから親を殺すこと。
さらに、その子供が18歳になるまでに森を去らなかったら、その子も殺す。
それだけハーフエルフは忌み嫌われる存在。
僕は…親も、自分自身も嫌いだ。
消えてしまいたい。
そう何度も考えたけど…
心の何処かに、まだ消えたくないと云う自分がいて、出来ない。
どうしようもなくて、ただ、ぼんやりと過ごしてきた。
…もう少しで18歳になる。
でも、どうしたらいいか解らない。
そんなある日のことだった。