その雨の名は
「……っ」
雨の音で目が覚めた。
俺はどうやら…何か絡んできた不良共と喧嘩して勝って…。でも、思いのほか、殴られたりしたダメージが大きくて……そのまま気を失っていたらしい。
「…雨、か。」
氷水のように冷たい雨に全身うたれて、体の感覚が麻痺してしまっている。
そのせいで、まともに手足が動かせなかった。
「………」
灰色に淀んだ空。
やたらと静かな町。
その中で聞こえてきたのは雨音だけ。
(…動けるようになるまで、ここにいるしかねぇな…。)
また瞼が重くなり、視界が暗くなっていく。
意識が薄れていく中、誰かが俺を呼んだ気がした。
.