無意識と自覚
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後日、クエストの相談、というのを聞いてみれば、何だかよくわからない物を渡されたらしく、ウロビトの里やイクサビトの里に行ってみれば何かわかるのではないのか、とのことらしく、パーティを分割してそれぞれ行くべきかどうかを相談したかったらしい。
「ふむ……成る程な。」
「それで…どうしたら……」
うーんと考えた後、ちらりとアリシエ達を見た。
その視線に気づいたのか、イヌイとアクアが首を傾げた。
「その依頼、【ハミンギア】として受注してるんだよな?」
「そうですね。別に俺達のパーティメンバー、とまで指定はしてきてなかったですし」
トキワさんの問いにフレイがそう答える。それに頷き、改めてアリシエ達を見た。
「なら、俺らのメンバーがやってもいいか?もう警戒とかはされないだろうけど、説得役に出来そうなのが丁度いるし」
「「つまりオレ(私)のこと!?」」
イヌイとアクアが同時に言う。それにイヌイは驚いたような表情で、アクアは少し呆れたような表情をしていた。
その二人に対しトキワさんが笑顔で頷く。…おおう、なんという直球。
「わ、わかったっス!説得でも何でもやりますよ!」
「いっ…イヌイさんっ!?……うぅ、わかりましたよ、もぅ……」
なんとか二人も承諾したみたいだ。…アクアは少々不満気味だったけど。
「それに、戦力的にも問題ないだろ?」
「まぁ…そうですけど」
「だからと言って慢心はしねぇけどな。いいだろ?お前ら」
そう言ってアリシエとシキさんに問い掛けた。
「ああ。問題ない」
「……勝手にしろ」
微笑しながらアリシエは頷き返し、シキさんはそう言い捨てた。…あの反応は確か「OK」っていう意味だってオルフィが言ってたなー…。トキワさんもそれを理解していたらしく、ニッと笑った後、フレイを見た。
「というワケだ!その依頼、俺らのメンバーが引き受ける!」
「はい。お願いします」
「いいって!同じギルドメンバーだろ?」
丁寧にお辞儀をするフレイ。そんな彼の頭をトキワさんが軽く撫でる。いきなりのことで驚いたフレイが「うわっ!?」と声を上げた。
そんな彼を見てまた笑い、アリシエ達に向かって話す。
「よし、そんじゃそれぞれ準備してくれ。あと糸は絶対忘れんなよ?」
「わかった」
「了解です!」
「わかったっス!」
「ああ」
それぞれ返事をし、宿屋の自分の割り当て部屋に散っていく。…となると、気球艇『ビフレスト』はトキワさん達のメンバーが使うから、アタシらは居残り組か。
いや、別に磁軸もあるし何とかなるだろうけどさ。万が一のことがあったら大変だろうから、ということで「居残り組」というのを作っている。
まあ、誰かと手合わせするなり、タルシスから徒歩でも行ける森の廃坑に行くなりと、冒険以外の自分の好きなことが出来たりする時間の確保にもなるから別にいいんだけどさ。
「気を付けて帰ってきて下さいよ?」
「エル………ああ。」
そう言ってみれば一瞬目を丸くされたが、すぐにいつものように笑った。
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