第一印象
――夜・七時
「はーい、どーもどーも。集まっていただきありがとうございまーす。今回はちょっとしたクエストを受けましてね…パーティメンバーとの交流を含めて、メンバーチェンジをこのクエストの間のみ行おうと思っていまーす。」
(軽ッ!?)
宿屋のホールに集まり、エルディアが説明をしていたのだが…何だ今の説明の仕方。軽すぎだろう!
「クエストの内容は、森の廃坑にて彷徨う狒狒が大量発生しているためか、新人冒険者達への被害が拡大しているとの事。その被害を減らす為に討伐依頼が出たそうです。」
今度はフレイが説明する。…うん、まともだな←
とはいえ、彷徨う狒狒か…冒険者の資格があるかを確かめる為に虹翼の欠片を取ってくる例のヤツで、採掘ポイントを地味に邪魔しているFOEだったな…。
今の俺達のレベルなら、問題なく倒せるだろう。パーティを変えても恐らく問題はない…ハズだ。
問題はどんなメンバーになるか、だ。
「で、メンバーなんだけど、今回は人数の関係上、2パーティ分しか組めないんだ。だから、何人かはお休みってことになるね。」
エルディアの言葉に少しざわついた。…まさかの待機組も出るのか…。
「んじゃ、発表するよー!一つ目のパーティは、フレイ、アタシ、トキワさん、シキさん、アクアちゃんの五人です!」
「二つ目のパーティは…リント、オルフィ、シズク、ルイス、リドウさんの五人になります。」
名前を呼ばれた者はそれぞれのメンバーの顔を見ていた。呼ばれなかった者達はそれぞれ別の表情を浮かべていた。…特にラベントは少しつまらなさそうにしている。
というか……なんだアレ。「やったねオルフィ!チャンス到来じゃないか!!」と言わんばかりにリントが俺の方を見てグッと親指を立ててきている。
対しシズクは、一瞬俺と目があったがすぐに逸らされてしまった。
……大丈夫なんだろうか、本当に。
「はーい!では、依頼は明日やろうと思いまーす!なので明日に向けて準備するなりしてください!」
解散ッ!とエルディアが言い、それぞれ準備の為などで散っていく。
…にしても明日か。結構急だな。
「よっし!明日はよろしくねー!ルイス、シズク!」
「うん…よろしく」
「は、はい!」
リントは早速二人に話しかけているし……リドウは慌てて出て行った。…多分、薬の買い出しだと思う。…店、開いてるといいな←
ふと、リントと話していた二人と目が合った。ルイスは片手を上げてきた。俺も同じように返すとこくんと頷き返してきた。シズクは……おどおどしていたが、ぺこりと頭を下げ、一度俺を見てから去って行った。
それを見ていたリントがまたグッ!と親指を立ててくる。さっきから…何なんだよ、お前←