第一印象
「…俺って…そんなに怖いか?」
「んぁ?どーしたのオルフィ」
冒険に必要な道具の買い出しから帰ってきたリントが首を傾げる。
「いや、俺の印象ってそんなに悪いのかって思ってよ……」
「?別に普通だと思うけど……」
というか、何があったの?と聞いてきた。…コイツに言っても大丈夫なのだろうか。
「…シズクっているだろ?」
「いるね」
「何か、よく逃げるから俺のこと苦手なのかなって思ってだな……」
「あー…」
そう言えばリントは納得したように頷く。
「確かにオルフィはちょっと怖そうにも見えるよねー。何と言うか、雰囲気からちょーっと近寄りがたいような感じ?」
ズバズバとリントは言っていく。けど…な、成る程な……。
「やっぱ怖いのか…」
「かもねー。あたしはオルフィと同じパーティだからよく知ってるけど」
「パーティねぇ…」
俺のいるパーティはリント、リドウ、ラベント、フィルブというメンバーだ。
対しシズクはフレイ、エルディア、ルイス、ノルンというメンバー。…当然、一緒になることは殆どない。メンバー構成を変えない限りは一緒にはならない。
「一緒になることはほぼ無いからな…」
「せいぜい宿屋か街中で顔を合わせる程度だもんね~」
変えないのは、現状だと安定しているから、というのが最大の理由だ。
確かに、今のメンバーだと安定した戦いが出来るし丁度いいとは感じている。…例外的に親方…じゃない、シキとトキワさん、ウロビトのアクアという三人でやっているのがあるが。あれはあれでやっていけるのが…凄いとは思うが。
「せめて交流会かパーティチェンジでもあればねー…。」
「…本当、な…」
多分、ないだろうけど。そう考えるとまた気分が沈む。溜め息を吐くが、余計に気が滅入るだけだった。
それをリントがじっと見ているの感じ、「何だよ」と言いながら軽く睨むと、少し間をおいてから口を開いた。
「いやぁ…さ。オルフィって、シズクとどうしたいのかなって思ったんだよ。」
そこの所どうなのー?と少しニヤニヤしながら質問してくる。何でニヤニヤしてんだ、こいつ。でも……
(どうしたいのか、か……)
改めて考えてみる。…俺は…俺を避けているシズクにどうして貰いたいんだろうか。
本当に俺のことが嫌い、或いは苦手だというのなら「そう。勝手にしろ」と放っておくだろう。その後の視線とかは気にしなくてもいいだろうし、何かやってくるようなら無視すればいい。
…普段の俺ならそう突っ撥ねてるだろう。
けれど、何故か気になる。気になってしまう。というか、放っておけない…?
駄目だ…わからん。これが一体何なのか……。ただ…唯一わかることは……――
「まぁ…仲良くはなりたい、かもな」
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