救助要請


 ――アスラーガの街


 …で、クオン達全員を救助&介抱し、街に戻り救助完了報告をギルド長にしてから、どうしてあんな所に倒れていたのかを聞いた。

 …理由は案の定、まずはクオンとカノンがD.O.Eの足止めを試みたが倒されてしまった。そこからルイスとハルニアで逃げたそうだが、追ってきたD.O.E達を足止めしようとし、ルイスもクオン達と同じように…やられたらしい。

 残ったハルニアはあと少しの所まで行ったらしいが…階段の所まで行った瞬間、蜂やらキノコの毒にやられ、さらにはD.O.Eまでにフルボッコにされたらしい。

「…それは災難ね…」

「うん。まあ…カノンさん達も充分フラグ発言してたけどねー」

 ニコニコしながらハルニアが言うと、そのフラグ発言をしたカノン達が肩を震わせた。

「…アンタ、ガラにもないこと言ったのね?」

 多分…今私はニヤニヤしているだろう。カノンにそう言えば「黙ってくれ」と返されたが、いつもより声に元気がない。
 見ればクオンもルイスも…そしてニコニコしているハルニアにもいつもの様な元気がなかった。

「まったく…いつまでくよくよしてんのよ!」

 クオン達一人一人にでこピンをしながら喝を入れる。

 いきなりのことで彼らはキョトンとしていた。それでも構わず私は続ける。

「確かに冒険に失敗することは命取りになるかもしれない。 けれど、こうして助かったんだから…これを反省して、同じ失敗を繰り返さなければいいじゃない。」

 私達冒険者にとって失敗する事は命に関わりかねない。
 実際、樹海に敗れた冒険者が帰ってこないなんて事もよくあることだ。でも…今回クオン達はそうならずに帰ってくる事が出来た。

「アンタ達に、もう一度やれるチャンスが回って来たんだから。それを大事にしなさいよ!」

 バシッと今回は背中を叩き、もう一度喝を入れる。少し強く叩き過ぎたのか「痛い…」という声が聞こえた。

 けれど、顔をあげたクオン達の表情に曇りはなかった。

 思わず頬が緩む。最後にもう一つ、激励させてほしい。


「頑張んなさい!」






 さぁ、いざ行け、冒険者達よ!


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