黄金の翼
やっと喧嘩を終えたのだろう。少し息が上がっていた。
「オレは大昔、人間に造られた魔物だ。恐らく、エトリアの枯レ森にいた霊鳥を真似て造ったんだろう。そのオリジナルに、会ってみたいと思っているんだ。」
「だが、ここはエトリアではないぞ」
「わかってる!でも、エトリアと土地の条件はよく似てるだろ、モリビト様よ。モリビトがいて、モリビトの守護鳥として存在している。そうだろう?」
そこまで言うと、マキリも何か考えるように黙り込む。
「…確かにそうだ。だが、仮に会えたとしても、何か変わるとでも?」
「そんなモンは知らねェ。その時になってからだ」
そう言ってニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
この時、僕は初めてスイヨウが人の姿を取って、冒険者をしている##RUBY#夢#ワケ##を見たような気がした。
◇
枯レ森 地下四階
ここに来てようやくブロートに追いついた、と思えばまた逃げられてしまった。
慌てて追って、扉を開けば、そこには…見覚えのある鳥の魔物がいた。
イワオロペネレプ。
【ルミナリエ】のメンバーが予想したように、またスイヨウが言ったように、やはりここにはこの魔物がいたようだ。
だが……
「イワオロペネレプ…あの霊鳥までヤツの支配下になるとは!」
マキリが顔を歪めながらイワオロペネレプを見ていた。またもやブロートがやらかしてくれたようだ。
くっそ、初めて会った時点で妙に胡散臭かったけどここまで厄介なやつだったなんて!
そして今、いきなりFOEが襲ってきた所を、入ってきた扉から出て体勢を立て直そうとしていた。
「あー…まあそんな気はしてたよ、バジリスクの時点でさぁ…おのれブロート、次会ったらアイツの脳天にヘヴィストライク思いっきり決めてやる…」
「言ってる場合かハルニア!イワオロペネレプっていうとアレだぞ、この部屋全体にいるFOEと妙に連帯取ってるからすげえ面倒だったこと忘れたのか!?」
「忘れるワケねーでしょーが!!あんな面倒なこと、もはやトラウマレベルで記憶してるわ!!」
ハルニアとクロードが言い合っていたが、聞けばイワオロペネレプは他の魔物と連帯しながら攻撃してくるらしい。マキリもそのことは認めているみたいだ。
「なら…攻略法はわかってるよな」
「勿論。とはいえ、真正面から行けばFOEを呼ばれてこっちが潰される。そうなる前に…この人数だ、いくつかに分かれて対処することは可能だろう」
トキワが言うと、リーナがそう答える。…ということは、つまり…。
「いつかのワイバーン戦のレオがやったみたいなことか。」
「そういうことさ、エーレ。」
ハルニアがニッと笑い、早速メンバーを分けていく。
…と、ここでやけにスイヨウが大人しいということに気付いた。
「スイヨウ…?」
名前を呼ぶと、ハッとしたように僕のことを見たがすぐに何でもないと取り繕い……
「オレは…イワオロペネレプと戦いたい。」
そう宣言した。