銃と刀
◇
「…と言う訳だ。」
「つまり、アルカディアで知り合った冒険者ですか…へー…」
「反応薄いな。」
「そりゃ薄くもなりますよ。何だったんですか、さっきの!なんでミゾレさんと睨み合ってたんですか!?」
そっちに全部持ってかれたんだよー!とポカポカと軽く殴ってくるハルニア。
…いやだって、アイツと目が合ったら何でか以前のノリで睨み合っちゃうというか何と言うか…←
取り敢えず、宿屋に戻った俺達(+ミゾレ)は彼らの関係を話した。…ここにカノン達がいない、というのが何か不安なのだが…。
「そういえば、シノさん達はどうしてオーベルフェに?」
そんな不安を余所にハルニアは彼らに質問をする。
…言われてみれば確かに気になるな。
「あー…それはなんとなく、だな!」
ニッと笑いながら答えるシノ。しかしそれを聞いて俺とハルニアはズッコケた。
このセリアンの青年、相変わらずマイペースな所あるよな、本当…!
と、そこにパタパタと足音が聞こえてくる。そちらに視線を向けると、見覚えのある少女、ナディカだった。
その姿を見た瞬間、何故か身体が強張る。そして頭の中で警鐘が鳴る。
「あれ、お二人共、どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。ちょっとズッコケただけだから。」
「…ああ。」
出来るだけ短く答え、何となくシノの方を見る。そしてハッとした。
先程まで彼の隣にいたミゾレの姿が見えない。
「そうなんですか…。あれ、そちらの方は?」
「俺?そこの二人の知り合いの冒険者のシノ!キミは?」
「私はナディカです!ギルド【セレスタイト】さんと一緒に世界樹を目指してます!」
そうなのか!とシノは返す。その後少し会話してからナディカは去っていた。
…思わず息を吐く。それと同時にすぐ近くのソファの影からミゾレが姿を現した。
「…お前、どうした?」
「いえ…ちょっと、何かを感じて、つい」
そう言ってミゾレは服をパンパン、と払ってから立ち上がる。…そう言えばコイツも、俺と同じ「風ノ守」一族の人間だったな…以前先代が言ってたことが本当だとしたら、もしかしなくても、コイツも…?
「…何よ」
「いや、別に。…そういえば眼帯はどうした?」
改めてミゾレの姿を見る。以前の彼女は赤を基調としたコートと鎧を身に着けていたが、今は違う。今は青いコートに軽装…ガンナーの服装のソレになっている。そして、左目に着けていた眼帯はなく、左目の傷跡があらわになっていた。
「ああ…。元々、見えないとか言うことはなかったから、外してみただけよ。」
「マジか。そうだ、外すで思い出した。シノ!絶対帽子外すなよ!?」
「え?あー…確かにそうだよな。こっちにはいないみたいだし…」
うんうんと納得したように頷くシノ。
よし、わかってくれればいいんだ、わかってくれれば……。