銃と刀
ある程度メンバーが揃い、第5迷宮を突破した頃。
たまには休みの日くらいあってもいいだろう、ということでそれぞれが自由に行動していた。が……
「やれやれ…なんで俺が荷物持ちなんだ、ハルニア」
「ルイスには迷惑かけたくないからですよーだ。」
「…お前、本当妙な所空回りしてるよな」
「ナーンノコトデスカネー」
「カタコトになってんぞ」
見ての通り、俺はハルニアの買い物の荷物持ちをやっていた。俺だってやりたいこととかあったんだがなぁ…主に銃の手入れとか補充とか隠れた所で弓を使うとかだけど←
かといって、ハルニアも結構な量の薬を買い込んでいる。多分、こいつ一人じゃ運べないくらいの量で。…メディックだし、通常の迷宮と違って戦闘回数の多い不思議のダンジョンだ。これくらいないとやっていけないのかもしれない。
「うーん…次はこっちかな」
「って、まだ買うのか!?」
「そりゃ買いますよー。多少自分で加工とかもやってるし、その分をちょこと買ってくるだけだから!」
それじゃ!と言いながら近くの店に入っていく。…せめて、店の場所を言ってからにしてくれ…。急だと困るんだが…!
心の中で言いながら俺は溜め息を吐いた。…それにしても、この荷物…地味に重い。
早く戻ってこねーかな、と考えながらぼんやりと通りの方を見る。
ごった返している、という程人はいないがそれなりに人はいる。そこには俺達のような冒険者らしい姿も見受けられる。
…そういえば、ナディカが妖魔達に襲われかけていた、とクオンが言っていたよな…。その相手が自分達とほとんど変わらない冒険者風だった、とか…。
正直ナディカ自体俺はあまり信用していないが…一応用心してはおく。
と、思った矢先、誰かとぶつかってしまった。
「おっと、すみません」
「ああ、こちらこそすまな……あれ?」
「?」
ぶつかった相手はフーライの男だ。長い緑の髪が特徴的だな、と思ってしまう。しかし相手は何故か俺のことをじーっと見てくる。
その時、目深に被っていた帽子から琥珀色の瞳と目が合った。
琥珀色の、瞳。緑の髪。その容姿と一致する青年を一人思い出す。
…いやいや、ここアルカディアじゃないし。そもそもここにあの種族はいないだろうし?
一瞬思い浮かんだことを「ないない」と否定していると、フーライの男は「もしかして」と口を開く。
「トキワさん、だったりする?」
名前を呼ばれた途端、俺は固まった。いや、固まるしかなかった。