直感A+++
「あ。やっぱり来ると思いましたよー、トキワさん」
「…なんで読まれてんのかねぇ、エル…」
部屋を出ると、ドアのすぐ隣にエルディアが立っていた。と、その隣には何故かハルニアもいた。が。
「ふーーーん?それじゃ、ごゆっくりどーぞ!」
と、言って部屋に戻っていった。…何がしたかったんだ、あいつ。
「ああしてたけど、ハルニアもカノンさんも、結構気にしてるって感じでしたよ。」
「…だろうな」
やっぱり、というべきか。
実際に見た、と言う訳ではないが。
彼女が妖魔の姿に変貌した、と聞いた時、胸騒ぎの理由がわかった。
どうやら俺は、直感的にもソレが敵対するモノであると勘付いていたらしい。
◇
――街に来たばかりの頃
「はぁ?取材?」
「そーなの。ナディカって子なんだけど…多分アタシよりはちょっと幼い感じの子で」
「もしかして、金髪碧眼の子か?」
「そうだが…お前、会ったことあんのか?」
ハルニアとカノンが首を傾げる。
まぁ、会った事がある、といえばそうだが…。
「ああ。…俺個人は断ったが。」
「えーー。女の子に対してそれはないでしょートキワさん」
「あのな、俺は取材されるとか、あんまり好きじゃないんだよ!ただでさえ、一族云々の事もあるし…」
「それで拒否した、と…。まぁお前個人はないから大丈夫だろ。ギルド全体で受けてるし、まぁ…その辺はいえば何とかなるだろ?」
カノンに言われ、俺は溜め息を吐きながら「まぁ、そうだろうな」と返す。
…確かに俺達の一族云々でも変な風に言われるのは嫌だ。だから拒否したのもある。それに――
(なーんか、変な感じがしたんだよな)
あの幼さで、記者。というのもなんか可笑しい。
絶対何かあるだろ?と感じたのもあるが、それ以上に――
それ以上に、自分の中で何かが警鐘を鳴らしていた。
何を根拠にそう感じたのかは全くわからない。わからないが、直感的に「コイツは良くない」と、そう思った。