魔物との対話・その後
――ジュネッタの宿
宿に戻ると、「おかえりなさーい」というジュネッタの声を聞き「ただいま」と返す。リーリャとヴェルデで厨房を借りて何かを作っているところだった。
「あ、ミゾレおかえり」
「ただいま…ってなんで猫まみれなのセージ…」
見慣れた淡い紫の髪とオッドアイの少年を見れば、彼は困った表情をし、何故か猫に埋もれていた。随分と懐かれているみたいだ。……なんか羨ましい←
「わかんない…ちょっと撫でてたらいつの間にか囲まれてた」
「わぁ……」
また後でね、とセージが一匹の猫を撫でれば他の猫も彼に一度すり寄ってから離れていった。
「何か、新手のハウンドにでもなれるんじゃないか?セージ…」
「僕は…リーパーのままでいい。」
私と同じように猫まみれになっていた彼を見ていたトキワがそう言うと、セージはそう言い返す。
「というか、猫がパートナーのハウンドとか新しすぎ…。しかも扱いが難しそう…」
「だよなぁ…猫ってのは可愛いが、気まぐれだし…」
「え~!でも癒しにもなりますよぉ、お客さーん!」
そこにジュネッタも入り、猫トークに火が付く。…なんだろう、これ←
このままさらにカオスになるのかと思っていたが、そこにシノが帰ってきた。荷物を背負いながら何故か息を切らしている。
「お、お帰り…遅かったわね、シノ」
「ハァ…ハァ……お、おう。ちょっと遠回りしながら来たからな…」
何故遠回り?その言葉を聞いた途端、トキワがシノの方を見た。
「まさか……お前も何かに狙われてんのか?」
「多分……一回撒いたと思ってたんだけど、また見つかっちまって…」
「シノもか…」
思いもよらぬシノの答えに私は戸惑う。隣にいるトキワは顎に手を当てて考え込む。
「シノ、大丈夫だった?攻撃とかされてない?」
「ああ!追われてただけでというか何もされなかったけど…ってまさか、ミゾレ…!」
すぐに察したのだろう。私は頷いた。
「…ええ。遠距離から狙ってきてた。そこのトキワがなんとかしてくれたけど…。…あ、さっきはその…ありがとう。」
今更になってしまったけども、そう言ってお礼を言う。考え込んだままだったが、チラリとこちらを見た気がした。