血と一族


 心地よい風が吹き、疲れた体が少し癒されるような気がする。…こういった小休止も大事なのはわかってる。けど、そういう場所をなかなか見つけられないというのが現実だ。

 まあ、海都の樹海には野営地があってそこにテントを張って休むことはしていたけども。

(仮にやったとしても、これくらいのダメージでテントを張って休む、かぁ……なんか微妙だなぁ)

 そうこう考えていると、トントンと肩を叩かれる。

「何ですか?」

「多少荒療治だが、まあ……えいっ」

「んんっ!?」

 振り返り、トキワさんがそう呟いた直後、口に指を突っ込まれた。いや、なんでっ!?冗談抜きでなんで!?←

「ふ………んっ…!?」

 え…なに…?今、一瞬、鉄っぽい味が…。

(もしかしなくても、血…?)

 何で血の味が…まさか、怪我でもしていたんだろうか。そう思ったのも束の間、そのまま口内を弄ばれる。
 いやいや待って、どうしてそうなるの!?

「ふ…ぅっ……ん…んんっ…!」

「……」

「は…ぁっ…や、やめ…っ!……んっ」

 何か、背中がぞくぞくしそうになる。同時に、こくり、と唾を飲み込む。それを見た瞬間、指を引き抜かれた。

「っ……けほっ…」

「………」

 や、やっと解放された……。というか…。
 呼吸を整えながら、目の前の彼を見る、いや…睨み付ける。

「…トキワさん、ちょっと遊びましたね…?」

「バレたか」

「そりゃわかりますよもう!!ちょっとだけ、明らかに狙ってましたよね!?」

「ちょっとだけだし。気にすんな」

「気にするわアホーーーッ!!」

 何食わぬ顔をして言うが、全力でツッコミを入れる。ついでに軽く殴ろうとすればかわされた。

「避けられたし…」

「だって痛いのは嫌だし。」

「…どの口が言ってるんですかねー」

「ゔっ……」

 痛いところを突かれたと言うように苦い顔をする。が、すぐに戻り、ジッとアタシを見た。


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