血と一族
「うー…いたたた…」
「大丈夫、とは言えないか…」
「いえ、平気っすよ、一応」
「……一度休憩するか。」
とある迷宮にて、アタシとトキワさんだけで探索しに来ていた。
何故、二人だけなのか。それは今後の事を考えた結果、というのがある。
「うー…今後、もしかしたら二人旅とかになる可能性もあるから、慣らしておこう、ってワケで実際にやってみると…結構キツイなぁ…」
「だな。…レンとツクスルとかの連中はどうなってるんだ、本当…」
「それを言ったらウィラフとキルヨネンとかは一体…」
「あー…考えたらキリがないな。」
その辺の岩や倒木に腰掛けながらそんな会話をしていた。…ちなみに休憩の理由は、アタシがちょっと傷を負ったからだ。…フォートレスなのに情けない。
メディカとかでも飲もうか、と思ってカバンを漁る。…が、あったのはハマオやアムリタ、マドラやネクタル…それとソーマとかいう回復薬だけだった。
(うーん…まさかのメディカ切らしちゃったかぁ…。)
マドラやソーマは広範囲の回復が出来るヤツだからなぁ…。せめてハマオを使うべきなんだろうか。
そうやってカバンの中身とにらめっこしていると、トキワさんがそれに気付いたのか話しかけてきた。
「どうした?エル」
「え、あー…メディカでも飲もうと思ったんですけど、ちょうど切らしてたみたいで…」
「あー…お前ダメージ結構食らってたからな…なんか、すまんな…」
「いえ、フォートレスなんでこれくらいどうって事ないです!…まあ今回はちょっと情けないかもしれませんが」
「いやいや、俺が言うのもなんだが、無茶はダメだと思うぜ?いくら仲間を守る職業だからって、自分の限界を読み違えるのは死に直結するだろうし。」
「わー…本当にトキワさんが言うと何かアレだー…」
「……反省はしています、はい」
そう言って、少し目を逸らす。でも、間違ったことは言ってないということは確かだ。
まあ、ないものは仕方ないだろうし、少し休めばなんとかなるだろう、と思いながら背筋を伸ばした。
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