混乱ぱにっく


 ◇

「敵は…君かな?」

 そう言いながら、海色の瞳と目が合った。あ、こいつ混乱してる、というのはすぐにわかった。
 直後、俺のすぐ脇に杖がブンッと振り下ろされる。

「うぉ!?」

「シノっ!」

「あわわわ…ヴェルデさんが混乱しちゃいました!」

 驚きの声を上げればミゾレとリーリャが同時に言う。…そう、今回混乱を食らったのはウォーロックのヴェルデだ。

「リーリャ!すぐにヴェルデの回復を…!」

「り、了解です!」

 即座にミゾレが指示を出す。よし、これでなんとか持ち直せる…!そう思った時。


「アハハ…アハハハハ!!」


 何か、打撃する音と共に笑い声が聞こえた。

「……え」

 声の主を見て、誰もが戸惑う。だってそれは……


 杖を片手に、何故か高笑いしているヴェルデがいたから。


(だ…誰だお前ーーーーッ!?)


 いやいやいや!?どういうことだよ、これ!
 混乱しているってのはわかっている。わかっているが……性格豹変し過ぎだろう!?いつもの爽やかなヴェルデはどこいった!

 今のヴェルデは…謎の高笑いしながら攻撃をしまくっている。なんだアレ、悪役?悪役じゃないか!←

「…ねぇ、アレ誰……?」

「…ヴェルデだよね…?」

 セージとミゾレが呆然としながらそんな話をしている。リーリャもポカーンとして固まっている。…無理もないよな、アレは。

 そのヴェルデはというと、まだ杖で魔物を殴打しながら、笑っている……まあ、ウォーロックだからそこまで攻撃力はない。ないが……その姿が、もう……なんか、悪役というか、ラスボスにしか見えなくなってきたんだけど←


 ……このあと、リーリャがリフレッシュハーブをして、回復させた。…どうやら混乱していた間のことは…覚えていないらしかった。






 混乱ぱにっく




(なあヴェルデ、お前…混乱したら…その、悪役だな)


(はい!?)





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