第四話 報酬と冒険者
「…そういえば、冒険者の中にリュイと同じ人体実験被害者が居たパーティが居たような」
どのパーティだったか、とセオルドが考え込む。
…リュイ以外にも生き残った人はいるのか。
(いや、そう考えるとイツキもそう、なのか…?)
アイツ自身も人体実験被害者であるのは間違いないらしいし…。
もしかして、探せば他にもいるのかもしれない。
ただ、探すのは容易ではなさそうだが。
「んー…?確か銀ランクの冒険者パーティっスよね、その子が所属してるところ。
えっと、確か……異種族いっぱいパーティだったのは覚えてるんスけど」
なんかパーティ名に星がついてたのは覚えてるんスよねぇ~…とリディーナが首を捻る。
「そうそう。リーダーも人魚だと聞いてる……
思い出した。【暁ノ星】だ」
【暁ノ星】。セオルドはそう言った。
「……成る程。その【暁ノ星】に人体実験被害者で尚且つ生還している人がいるんだな。」
被害者であり生還者。
条件はリュイと同じ。
ということは、その人物もイツキに遭遇した可能性があるんじゃないかと考えた。
…まあ、無関係なら仕方がないが。
「お?興味あるって感じっスね?」
「個人的に、な。
……リュイはどうだ?」
別に無理に会う必要はないぞ、と付け加えて聞いてみる。
まさか聞かれるとは思わなかったのか、リュイは驚いたように目を見開いた。
「えっ、私?
えっと…僕は……少し、気になる…かな」
「気になる、か……。」
「うん。……会ってみたいような、少し怖いような…。」
きゅっと服の裾を掴んで視線を泳がせる。
ああ、それなら、とリディーナが反応して、リュイと視線を合わせるようにしゃがみ込む。
「その子、ちょうどリュイと同じくらいの子なんスよ!」
それならどうスかね?と笑いかけながら問うリディーナ。
同じくらいの子、と聞いてリュイが顔を上げた。
「私と、同じくらいの子…。それなら会ってみたい、かな」
小さい声だが、確かにそう言ったのが聞こえた。
「…そうか。
なぁ、セオルド、リディーナ。【暁ノ星】の人達に会う事は可能か?」
王子と騎士にそう訊けば、二人は一度顔を合わせたあと、笑顔で頷いた。
「多分、会えると思いますよ。
…ただ、彼らも冒険者なので、依頼を受けていたりしてその子がいるかどうかまではわかりませんが…」
まあ、それもそうだろうな…。
銀ランクで尚且つ堕天の怪物の討伐の同意を受けているとはいえ、それ以前に彼等も冒険者だ。
他の依頼を受けている可能性は大いにあるだろう。
「まあ他のメンバーは確実にギルドハウスに居ると思うんで!そこに行けばあえるはずっス!」
成る程な。
……それならば…──