第四話 報酬と冒険者
「っと…そうだった!
コレ、情報提供の報酬っス!」
そう言ってリディーナは麻袋をドン!とテーブルに置いた。
…あの、音が…結構重そうなんですが?
「…あー、中身を確認しても?」
「勿論いいッスよ!」
恐る恐る袋の中を確認する。
袋の中には、金貨が詰まっていた。
「………あの、ルナリーフ、これってどう思う?」
「金貨、すごく、いっぱい、あるわね」
なんだその語彙力のない回答は。
…気持ちはわからなくもないが!
「具体例を挙げてくれるか?」
「そうね…。この量なら…高級酒場で一晩飲み明かしても余裕でおつりが来るレベル。」
「……あの、結構くれますね?」
オレ情報提供しただけなんだけど!?
と困惑していると、リディーナが苦笑した。
「困惑する気持ちもわかるっスけど…実際問題、今までロクな情報提供が無かったんス。」
「しかも今回は正確な情報付きで出てきたから…。
それに、リュイを保護したというのも大きい。だからこの金額になったんです」
「…うーん、人命を金として数えられてる感が……。」
「あっ……そんなつもりでは」
おっと余計な事を言ってしまった。慌てて謝ると不快な思いをさせて済まない、とセオルドも謝り返してきた。
…とはいえ、お金の問題もこれで少しは解決した、のかもしれない。
さて、次はどうすれば…と思ったが。
少し気になる事がある。
「堕天の怪物が人体実験の被験者の成れの果てというのは理解した。
……ということは、後手後手に回ってる状態でもソレの死体に遭遇するのか?」
そう質問すると、セオルドは頷いた。
「基本的にはそうなります。…けれど、施設側の方にも制御不可能になっている事も少なくて…」
……おっと?なんか不穏な言葉が聞こえたぞ?
施設側が?制御不能?
それってつまり……。
「え、脱走してる事あるのか!?」
「いやーあいつら施設のセキュリティの問題どうなってるんだっていうのもわかりますわぁ。
まあ、成れの果てを自分達で造り出してる時点である意味自業自得と言う気もしなくはないんスけどね!」
「騎士のアンタがそれ言う!?」
思わずツッコミを入れる。いや言いたい事はわからなくもないが!
「制御出来なくなった堕天の怪物が脱走というのはたまにある。
ただこの件は…先回りしている者も、そこまで深追いはしていない様なんだ。」
「お、おう……そうなんだ。」
それはそれでなんだか不思議な話だが…。
「名前の通り、「怪物」と呼んでいるだけあって、当然力も常人を遙かに凌駕する。
……故に、騎士団や衛兵だけでは足りない。場合によっては倒すことが困難だ。」
堕天の怪物を元に戻す術はない。
故に倒すしか方法はない。
……その「倒す」というのもどうやら容易ではないようだ。
「それなら、一体どうしているんだ…?」
「腕の立つ冒険者に、討伐を依頼するようにしているんだ。」
オレの疑問に、セオルドはそう答えた。