プロローグ 竜胆の異世界散歩
――神精霊世界
この世界は、神々と精霊しかいない。早い話、天界とかだと考えると早い。
かつては人間もいたらしいが、反人間派によってこの世界から追放、人間は人間のいる世界で、と(だいぶ強引に)分けたらしい。
「…そんな元・超反逆者のセクトさん、扉を開けてくれないか?」
「お前本当、ヒトが気にしていること思いっきり言うな!?」
ザクッと心に刺さったぞ!と言いながら胸を抑える黒のマントを纏った黒と銀の長髪の青年・セクトがオレに向かって叫ぶ。
…いや、だって本当のことだし。
「事実だろ?」
「あーあー聞こえない、聞こえないぞーオレはー」
「現実逃避はよくないぜー、神擬き様ー」
「…お前、本当毒吐くよな…」
「そうか?そっちみたいな根っから神様している人でなしよりはまだマシだと思うけど」
「この毒舌!お前の方がよっぽど人でなしだ竜胆!!」
バッと黒いマントを揺らしながらオレを指差すセクト。
オレが「人でなし」ねぇ…。まぁ、元々 が「人間らしい人生」を送ってないからなぁ…しかもオレ自身も色々あったから…スレているんだろうな、うん。
「否定はしない」
「しないのかよ!?…で、なんで扉を開けて欲しいんだ?」
ノリツッコミをしながらセクトは背後にある扉――異世界への扉を見た。
時雨達のような“異世界の放浪者”じゃないオレには自由にかつリスクなしで異世界に渡る術を持たない。
その為、セクトの管理するこの扉を使わないと渡ることが出来ない。
で、何故その扉を使いたいのかと言うと――
「散歩だ」
「散歩で使うヤツがいるのかオイ」
「いいじゃないか。どうせオレはこの格好じゃないと時雨が認識できないし。世界を見た方がいいってユウサリにも言われたし」
「前半ワケわかんないぞ…愚痴か? でもユウサリが、か…アイツわかってんのか?その所為で“例の一件”になったのに…」
例の一件…以前聞いた500年前の話だろう。セクトが顔をしかめている。…まぁ、今オレがしようとしていることがそれに繋がるとは思わないけど。…でも言った方がいいよな。
「まぁその辺は言ってた本人も何か言ってたし、自覚はあるだろ。それに…オレの場合、確認したいことがあるからな……“人間”を見て、それを確かめたい」
オレが言うと、セクトは表情を緩め、こちらを見る。
「それは、一体――――?」
◇
「というワケさ、わかったか?」
「ああ。…まあ、それなら問題ないだろうな。うん…」
歯切れ悪くセクトは言うが、何度も頷いている。…矛盾しているが、一応認める、という方向にはなっているみたいだ。
それを証明するように彼は術式を展開していく。
「まぁ、いい。行けばいいさ。…お前に丁度いい世界は…ここだろう。」
術を展開し、扉が開かれる。そこに幾つもの術式と光が刻まれ、ゲートとして開かれていく。
「親切にどーも。それじゃ、行ってくる。」
「ああ…。長い散歩になりそうだけどな」
「ははっ…違いない」
セクトに手を振りながら、オレはゲートに足を踏み入れた。
全ては気まぐれから
しかしその散歩は旅となる
それは、竜胆を変える物になるのかは、わからない
この世界は、神々と精霊しかいない。早い話、天界とかだと考えると早い。
かつては人間もいたらしいが、反人間派によってこの世界から追放、人間は人間のいる世界で、と(だいぶ強引に)分けたらしい。
「…そんな元・超反逆者のセクトさん、扉を開けてくれないか?」
「お前本当、ヒトが気にしていること思いっきり言うな!?」
ザクッと心に刺さったぞ!と言いながら胸を抑える黒のマントを纏った黒と銀の長髪の青年・セクトがオレに向かって叫ぶ。
…いや、だって本当のことだし。
「事実だろ?」
「あーあー聞こえない、聞こえないぞーオレはー」
「現実逃避はよくないぜー、神擬き様ー」
「…お前、本当毒吐くよな…」
「そうか?そっちみたいな根っから神様している人でなしよりはまだマシだと思うけど」
「この毒舌!お前の方がよっぽど人でなしだ竜胆!!」
バッと黒いマントを揺らしながらオレを指差すセクト。
オレが「人でなし」ねぇ…。まぁ、
「否定はしない」
「しないのかよ!?…で、なんで扉を開けて欲しいんだ?」
ノリツッコミをしながらセクトは背後にある扉――異世界への扉を見た。
時雨達のような“異世界の放浪者”じゃないオレには自由にかつリスクなしで異世界に渡る術を持たない。
その為、セクトの管理するこの扉を使わないと渡ることが出来ない。
で、何故その扉を使いたいのかと言うと――
「散歩だ」
「散歩で使うヤツがいるのかオイ」
「いいじゃないか。どうせオレはこの格好じゃないと時雨が認識できないし。世界を見た方がいいってユウサリにも言われたし」
「前半ワケわかんないぞ…愚痴か? でもユウサリが、か…アイツわかってんのか?その所為で“例の一件”になったのに…」
例の一件…以前聞いた500年前の話だろう。セクトが顔をしかめている。…まぁ、今オレがしようとしていることがそれに繋がるとは思わないけど。…でも言った方がいいよな。
「まぁその辺は言ってた本人も何か言ってたし、自覚はあるだろ。それに…オレの場合、確認したいことがあるからな……“人間”を見て、それを確かめたい」
オレが言うと、セクトは表情を緩め、こちらを見る。
「それは、一体――――?」
◇
「というワケさ、わかったか?」
「ああ。…まあ、それなら問題ないだろうな。うん…」
歯切れ悪くセクトは言うが、何度も頷いている。…矛盾しているが、一応認める、という方向にはなっているみたいだ。
それを証明するように彼は術式を展開していく。
「まぁ、いい。行けばいいさ。…お前に丁度いい世界は…ここだろう。」
術を展開し、扉が開かれる。そこに幾つもの術式と光が刻まれ、ゲートとして開かれていく。
「親切にどーも。それじゃ、行ってくる。」
「ああ…。長い散歩になりそうだけどな」
「ははっ…違いない」
セクトに手を振りながら、オレはゲートに足を踏み入れた。
全ては気まぐれから
しかしその散歩は旅となる
それは、竜胆を変える物になるのかは、わからない