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 首が締まらないようにしつつ抵抗していると、ふわ…と浮くような感覚。
 
「え」

 御札だらけの大きな手…らしきモノにボクの両足は掴まれていた。
 ジタバタと動かそうとすると、その手に靴を脱がされる。待て待て、と思っていると景色が流れ、どんどん店の中へ引き込まれていく。

「ちょ、え、えええええ!?」

 何が起きてるーーーーー!?!?!?
 というか、店の中にシュゥゥーーーッ!!ってされてる!??

「というか、ボク未成年なんだけどーーーー!!?!?」

 よく分からないツッコミ(?)を叫びながら、奥に連れて行かれる。

 いつまで続くのだろうか、と思った時。
 部屋の中に来た瞬間、止まった。
 とん、と畳の上に置かれる。
 次の瞬間、御札がパラリと畳の上に落ちた。…まるで役目を終えたと言わんばかりに。

「……何だったんだ…」

 ボクを掴んでいた手、御札だったの…?と畳に落ちたそれを拾い上げる。
 何が描かれているのかは…部屋が薄暗い所為で見えにくい。
 
「んー……??」

 うーん、どうしよ。バッテリーの為に電源落としてたけど、明かりとして使うべき…?と悩んでいた時だ。

 背後で、何かが動いた。

「………!」

 店の中……もとい部屋に引き込まれた。
 という事は当然、引き込んだ犯人がいるワケで。
 振り返って身構えようとした瞬間、背後から何かが覆い被さる。

「ぴゃぇっ」

 恐怖とか色々混ざり合って変な声が出た。

「ふふ……おチビは可愛いな・・・・・・・・

 耳元で聞こえたのは聞き覚えのある声。
 …え?と思いながら振り返ると。

 ボクに覆い被さっていたのは──鬼ヶ式うら。

 否、彼女とよく似た……誰かだ。
 声も、姿もよく似ている。

 違うのは…髪飾りとか…少し違う。
 他には……服装。シャツと…何処か遊女を思わせるような着物を羽織っている。
 それと……両手を縛っている赤い紐。
 …縛られているから、覆い被さるようにしているのか、とぼんやり考えていると、彼女はクスッと笑った。

 ……というか。

(距離、近いっ……!!)

 普段からからかう様に距離を詰めてくる事はあったけど…!ここまでの至近距離は!初めてなんですが!?
 いやコレ多分本人ではないんだろうけど!!

 一人勝手に戸惑っていると、トンとボクの首に指が触れる。そのまま首筋から頬へつう…っとなぞる。それが擽ったくてビクッと肩を揺らせば、目の前の彼女は嬉しそうに目を細めた。
 
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