壱
──コンパス
今日も白い世界が広がっている。
この間、久しぶりのイレギュラー騒ぎがあったがそれも既に終わっている。
「んー…息抜きの散歩するかぁ」
当てもなく、ぶらぶらと歩き出す。
特に目的はない。強いて言うなら勝手にコンパス内部の探検と言ったところか。
……Voidollに見られたら間違いなく怒られそう。
逆にBugdollからはどんなモノがあったのか教えろと聞かれそうだ。
(あとはアル兄貴からもお宝がありそうな隠し部屋とかあるんじゃねぇか!?とか聞かれそ~…)
…さすがにお宝は無いとは思うけどね、と苦笑をする。
「……っと?」
そんな風に考えていたからか。 ある道が目に付いた。
「あれ、こんな所に道あったっけ?」
普段からこの辺は通る。しかしこんなところに通路はあっただろうか、と首を傾げる。
うず、と好奇心が疼く。
「この先、何かあるのかな…?」
新たなエリアの建設でもしているのだろうか。ソワソワしながら通路に近づく。
お宝……は無いかもしれないが、いろんな意味での「お宝」はありそうだなぁ…!と思いながら一歩踏み込んだ。
瞬間、景色が一変する。
白い世界ではなく、暗く何処か異質な場所。
何処かの街の中にも思える場所に出た。
「……え?」
振り返るが、先程まで居たコンパスの世界とは全く違う、異質な街の道が続いているだけだった。
「え、え……?」
──どういうことだ、コレ!?