壱
頭の中で警鐘が鳴り響く。
このままだと不健全なアレになっちゃう!というか──
「まままま待って…ッ!ボク、とか言ってるけどボクは女の子だからッ!」
「ああ、おチビの性別は勿論知ってるさ。」
知ってたかーそっかぁー…。
「じゃなくてッ!!アレです、ボクまだ未成年!!ギリギリ17歳!」
何とかひねり出せた未成年です発言。
さすがに予想出来なかったのか、ポカンとした顔をしていた。
「…っふふ、おチビは本当に可愛らしい。」
クスクスとボクを見下ろす彼女は、ボクが知る笑い方を見せた。
…余程面白かったのか、暫く笑ってた。気が済むまで笑ったのだろうか、ふぅっと息を吐くとボクから降りた。
「今回は特別に見逃してやろう。」
「今回、は……?」
えっ次回あるの……!?
一人勝手に次こそナニをされてしまうのか、と場所も相まって若干如何わしい方向に思考が傾きかける。
「顔が赤いぞ、おチビ」
「む、むぅ……一体誰の所為だと……!」
「ふふ……」
思わず頬を膨らませる。
くす、と笑いながら彼女はすり、と手の甲でボクの頬を撫でる。
…それにしても、本当に距離感がバグってる。
なんというかアル兄貴の時も距離感可笑しいけど、目の前にいる彼女もまた…やたら近い。
(うーん、アル兄貴の時も大概だけど、こっちもこっちでまた…)
なんなの…?距離感やたら近い人最近多くない…?
いや目の前の彼女は本人…ではなさそう?ではあるが。
なんて考えていた時だった。
何故か、「鬼ヶ式うら」似の彼女が距離を詰めてきた。
「ナ、ナンデスカ…?」
わお、自分でも小さくて情けない声が出たなぁ。
なんて現実逃避していると、目の前の彼女が少し不満気に眉を顰めた。
「今、誰の事を考えていた?」
「え?」
「此処には私とおチビしか居ないんだ。
──他の誰かの事を考えるのはよしてくれ。」
また、耳元に口を寄せてくる。くすぐったさと、距離がさらに近まって心臓が跳ねる。
「今は──私だけを考えてくれ、おチビ」
酷く優しい声で、そう囁かれた。
場所も場所、状況も状況で脳が蕩けてしまうと錯覚する。
(……はっ!?また飲まれそうになってた)
なんとかギリギリ、理性はぶっ飛ばなかった。
…腰は完全に抜けてしまったが。
「……ぜ、善処シマス…」
あ~…また情けない程小さい声ェ…。と内心ツッコミを入れていた。
曰く東洋人の別嬪さん
((こんなの顔面偏差値の暴力だってぇ絶対……国傾くよぉ…))
((ふふ、おチビはやはり可愛いなぁ))