頭の中で警鐘が鳴り響く。
 このままだと不健全なアレになっちゃう!というか──

「まままま待って…ッ!ボク、とか言ってるけどボクは女の子だからッ!」

「ああ、おチビの性別は勿論知ってるさ。」

 知ってたかーそっかぁー…。
 
「じゃなくてッ!!アレです、ボクまだ未成年!!ギリギリ17歳!」

 何とかひねり出せた未成年です発言。
 さすがに予想出来なかったのか、ポカンとした顔をしていた。

「…っふふ、おチビは本当に可愛らしい。」

 クスクスとボクを見下ろす彼女は、ボクが知る笑い方を見せた。
 …余程面白かったのか、暫く笑ってた。気が済むまで笑ったのだろうか、ふぅっと息を吐くとボクから降りた。

「今回は特別に見逃してやろう。」

「今回、は……?」

 えっ次回あるの……!?
 一人勝手に次こそナニをされてしまうのか、と場所も相まって若干如何わしい方向に思考が傾きかける。

「顔が赤いぞ、おチビ」

「む、むぅ……一体誰の所為だと……!」

「ふふ……」

 思わず頬を膨らませる。
 くす、と笑いながら彼女はすり、と手の甲でボクの頬を撫でる。

 …それにしても、本当に距離感がバグってる。
 なんというかアル兄貴の時も距離感可笑しいけど、目の前にいる彼女もまた…やたら近い。

(うーん、アル兄貴の時も大概だけど、こっちもこっちでまた…)

 なんなの…?距離感やたら近い人最近多くない…?
 いや目の前の彼女は本人…ではなさそう?ではあるが。
 
 なんて考えていた時だった。
 何故か、「鬼ヶ式うら」似の彼女が距離を詰めてきた。

「ナ、ナンデスカ…?」

 わお、自分でも小さくて情けない声が出たなぁ。
 なんて現実逃避していると、目の前の彼女が少し不満気に眉を顰めた。

「今、誰の事を考えていた?」

「え?」

「此処には私とおチビしか居ないんだ。
 ──他の誰かの事を考えるのはよしてくれ。」

 また、耳元に口を寄せてくる。くすぐったさと、距離がさらに近まって心臓が跳ねる。

「今は──私だけを考えてくれ、おチビ」

 酷く優しい声で、そう囁かれた。

 場所も場所、状況も状況で脳が蕩けてしまうと錯覚する。
 
(……はっ!?また飲まれそうになってた)

 なんとかギリギリ、理性はぶっ飛ばなかった。
 …腰は完全に抜けてしまったが。

「……ぜ、善処シマス…」

 あ~…また情けない程小さい声ェ…。と内心ツッコミを入れていた。



 曰く東洋人の別嬪さん
 
((こんなの顔面偏差値の暴力だってぇ絶対……国傾くよぉ…))

((ふふ、おチビはやはり可愛いなぁ))

 
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