出会いはそうとうカオスなモノだった。


「…で、アンタをこっちに呼んだ理由はねー」

 ユナハが竹刀を肩に担ぎながら話し出す。

「……人間に捨てられたポケモンがその命が尽きる前にこっちの世界…この"最後の楽園"に呼び寄せるんだ。」

 "最後の楽園"。つまりは人間に捨てられたポケモン達にとっての最後の居場所のようなもの……らしい。

 しかもその場所なら…人間に怯えることはない。本当にポケモンしかいないから。…更には望めば人間の姿にもなれるらしい。
 だからか…僕も人間の姿をしていたのは……。


「まぁ…全ての人間が悪い奴ばかりじゃないよ、とも伝えたいから"ここ"を創った理由の一つでもあるけどね」

「………」

 ニッとミルトが笑いながら言う。…一応、ミルトが言ったことは理解してはいる。けど、今まで経験してきたことがそれを否定する。



 沈黙。そして、部屋に重い空気が漂う。



「…さて、暗い話はここまで。さっそく君の名前でも考えますか」

「え?」

 沈黙を破ったのはユナハだ。というか、名前…?


「名前って…」

「君の名前だよ、“ポッチャマ”。一応、こちらに呼ぶ前の出来事は見ていたからさ…名前、つけてもらわなかったでしょ、君」

「あー…確かに。」

「トレーナーによってはわざと名前を付けない人もいるけど、それもまた一つの愛。あたしはそう考えてる。」

「出たー…ユナハの哲学染みた何かー……いやわからなくもないけどさ、うん」

 キミが言うとなんだか難しいんだよー、とミルトが苦笑しながら彼女の背にもたれ掛かる。ユナハは少し嫌そうな顔をしたが、振り払うことはしなかった。


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