プロローグ
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僕は「ポッチャマ」だ。名前は…つけてもらえなかった。
まあ、名前…というか、愛称(ニックネーム)をつけてくれるかは個人差があるみたいだと知った。
僕はナナカマド研究所にいた。新人トレーナーの為に渡されるポケモンの一匹として、そこにいたんだ。
どんな人がやって来るのか、どんな旅が待っているのか、ずっと選ばれるのを楽しみにしていた。
でもそれは、呆気なく崩れ落ちた。
人間に、裏切られた。
僕を選んだ少年は、僕らポケモンの事を見下していた。
アイツは、僕らを「ただの道具としか思っていないみたいだった。
最初は少し辛いけど、はじめてだからこうなんだろう、そう考えていた。
でも、新たな仲間が増えたとき、そうじゃないと気づいた。
その仲間に対しても、僕と同じ扱いをしたから。
ただそうやって、ひたすら戦いまくって、傷付き倒れたらすぐにポケモンセンターへ。
唯一、ポケモンセンターで治療されているときが僕らの救いだった。
だって、僕らにとっての「安らぎ」の場所だったから。
その後、少年からの扱いは更に酷くなっていく。
「なんで出来ないんだよ!」「出来損ない!」「使えないヤツ…!」
そう罵られながら、叩かれたり、地面に投げつけられたり。いっぱい酷い目にあわされた。
僕だけじゃなく、仲間も同じように……
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