神様のいる世界
一人でそう考えていると、「あー…つまり?」と時雨がやや困惑した表情で話す。
「お前は誰かに“ここ”へ飛ばされてきた…のか?」
「まぁ…そうなるね。飛ばされる先はいっつもランダムだから、偶然ここの世界に来ちゃったのだと」
「…その言い方、異世界に飛ばされるってことに慣れてんのか?」
「はい、一応は。」
そうはっきり答えれば、時雨は絶句した。
…というか、この人、“異世界から来た”って言ってもさほど驚いてはいなかったなぁ…。
ただ、「ランダムに飛ばされる」「異世界に飛ばされるのに慣れている」ってことには驚いているみたいだけど。
「…何者なんだ、お前を飛ばしている奴は……」
「うーん…その人のことは、人間じゃないのは確かなんで一応神様のような何かじゃないかと考えてますね。」
「成る程な…神に近い、人間ではない何かか……それなら可能なのかもな。」
「でしょうね。」
「にしても何だ……お前、変わってるな。」
「えっ、ボクが?」
「……いや、なんでもない。すまんな、忘れてくれ」
「……」
首を傾げ、少し笑って見せる。ボクが何かを考えていることを悟られないように。
(…時雨は何を見て「変わっている」って言ったんだろう。この人の瞳は赤いから…、多分ボクの目や髪色と言った「容姿」ではないとは思うけどなぁ…。)
そもそも、ボクだって昔は髪は黒かったし、瞳も青だった。それもこれも、あの“実験”の所為でこうなってしまった。…もう、随分と昔のことだから、今更言ったって遅いけど。