If story ~不思議な出会い~


 何故だ、と考えていると、また同じ方から誰かが走ってくるのが見えた。

「待てーっ!ロケット団!」

 やって来たのは四人。…って、最後尾を走るあの人は……ミアレのジムリーダーじゃないか!?

 10歳くらいのトレーナーの少年が一人先に行くように、ロケット団が向かった方に走っていく。

「まっ…待って下さいよ~……」

 …最後尾を走っていた例のジムリーダー…確か、シトロン(だっけ?)が息を整える為に足を止めた。

「…シトロンさん!?どうしたんですか、一体!」

 セレナが慌ててシトロンに近づきながら訊ねた。
 彼女に気づいたシトロンが顔をあげ、息を切らしながら答えた。

「あ…あのっ…ロケット団が僕達の仲間のポケモンを盗ってったんですっ……!」

 …やっぱりやることがロケット団だな。あいつらがそうだとわかってからは、何となく察していたが……

「…取り返せばいいんだな?」

「は…はい。でも、今サトシが行ったんでっ…」

 サトシ…?さっきのトレーナーか?

「…タクト先輩!やるしかないですよ!」

 ボールを手にしながらセレナが言う。やる気は満々だが……何か嫌な予感が…


「わーっはっはっはー!」

 ……予感的中。声を揃えたロケット団の笑い声が上から聞こえてきた。
 見れば、ニャース型気球に乗って、こちらを見下すようにしている姿が。

「残念だな!ジャリボーイ!」

「ピカチュウは戴いていくのニャー!」

「ニャ、ニャースが喋った!?」

 気球に乗っていたニャースを見てルーファが目を丸くした。まあ…確かに驚くが……テレパシーで話してくるヤツとか、擬人化してくるヤツがいたせいか、そこまで驚かなかった。…いやー、慣れって怖いな。←

「……ま、やるしかねぇけどな。」

 ムクホークのホークが入ったボールの開閉スイッチを押し、繰り出す。同時に現れたホークの背に飛び乗った。

「行くぞ、ホーク!」

 ホークは一声鳴くと、気球に向かって飛んでいく。

 気球の下には檻。そこにはピカチュウが一匹、出ようと抵抗している所だった。

「えっちょ…何よアンタは!?」

 ロケット団の女がオレに気づき、声をあげた。だがすぐにポケモンを繰り出す。男の方も出してきた。

 で、出てきたのはバケッチャとマーイーカー。

 …舐めてんのか?と思ったが、どのみち空中にいるオレにとっては若干不利か……!?


「バケッチャ、悪の波導!」

「マーイーカー、サイケ光線!」

 二匹同時に技を放たれる。うわ、ちょっとヤバイか…?

「メタグロス、マーイーカーにコメットパンチ!」

「フラン、バケッチャにムーンフォース!」

 下から飛んで来るようにやって来た、メガシンカしたメタグロス(色違い)とフラエッテがそれぞれ技を放つ。…ルーファ、セレナ…助かったぜ!

 技が当たった二匹は二人のロケット団の顔に吹っ飛んでいき、見事にぶつかった。

 …今だ!

 腰飾りの珠に触れ、刀に変える。
 鞘から抜き、気球から一定の距離を取る。

 …狙うは、ピカチュウを捕らえた檻。

「ホーク、加速っ!!」

 一気に加速し、気球にグンと近づく。

 その一瞬の間に檻を切り払う。

 刀を鞘に仕舞い、腰飾りに戻す。


 ピシッ……

「ぴっ…ピカッ!?」

 ピカチュウの入った檻はバラバラになり、解放される。







 が、ここで気づいた。







 ピカチュウがそのまま落下しちまうううう!!






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