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悪夢と夢想


 ――トクサネシティ

 外に出ると、空はまだ暗い。

 何となく浜辺の方に向かう。


「………。」

 目の前には海。

 砂浜に膝を抱えるようにして座り込む。

 潮風が頬を撫でていく。

「……夢、でいいんだよね。」
































「んーー……何がだ?ルーファ」

 すぐ隣から女の人の声が聞こえた。

 振り向くと、青い髪の女性に人化したカイオネが同じ様に座っていた。

「……カイオネ、起こしちゃった?」

 私がそう聞くと、カイオネは目を見開く。

「なっ……!?いつもなら『勝手にボールから出るな』とか言うのにっ…! な、何かあったのか!?ルーファ!!」

 そう言いながらカイオネは私の肩を掴み、ガクガクと揺さぶる。

「ちょ、ちょっと……カイオネ…!」

「あ……ああ!ゴメン!!」

 ハッとしたカイオネは肩から手を離した。そして海の方へ向かう。

「…カイオネ?」

 カイオネは服が濡れてしまうのも気にせずに海へ入っていく。
 足が全て浸かると、私の方に振り返った。

「……んーー!やっぱ海はいいよー!ルーファ!」

「カ、カイオネ…!服濡れちゃうよ?」

「あー…構わないよ!どうせ元の姿に戻れば問題ないし!」

 ニッと笑いながら言うカイオネ。…そういう所がやんちゃだよね……。

「………海……」

「うん。波は静かだし、いいねぇ。こういうのも!」

 楽しそうにそう言うカイオネ。
 何故か、あの夢の光景が脳裏をよぎった。


「…ルーファ?顔色悪いよ?大丈夫か?」

 心配そうにカイオネが海から出て、私の顔を覗き込む。

「ぁ……いや、大丈夫だよ…」

「嘘だね。体も声震えてるし。…なんか、嫌な夢でも見たのか?」

 …私は頷いた。それに、確認したい。

「ねぇ、カイオネ……アナタとあった時、ルネの目覚めの祠だよね。」

「うん?そうだよなー」























「その時、大きな犠牲って出ていないよね?」


 私の問いに首を傾げるカイオネ。私は続ける。

「その犠牲は……誰かが死ぬようなことは起きてないよね?」

 カイオネは頷く。

「じゃあ……あの時、空を見上げたよね…。祠に溜まっていた力が、一気に放たれて…光が降ってきた時。…そこには、人がいたよね?」

 私がそう言うと、カイオネは苦笑しながら頷いた。

「さっきから質問攻めだなぁ…。でも答えるからなー。で…うん。人は何人かいたハズだね」

 …そこまでわかれば十分だ。

「…そっか……。ありがとう、カイオネ」


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