悪夢と夢想


「――――――…っ!!」

 ガバッと跳ね起きる。

 …そこは、昨日見たポケモンセンターの宿泊施設の部屋だ。時計を見ると、まだ夜明け前の時間だった。

 汗をかいたせいで、服が肌に張り付いて気持ち悪い。


「ゆ……夢?」


 さっきの惨状は夢…だったのだろうか…?

 凄くリアルな感じで、怖かった。


 …考えてみれば、あの時。もし、もう片方の超古代ポケモンも復活してゲンシカイキされていたら……あの夢のような事だって起きかねなかっただろう。


 夢の中でもヒガナがレックウザを連れてきた。けれど、激戦の途中で倒れてしまった。

「…こんなハズじゃ……なかった、のに…」

 そう夢の中のヒガナは言って力尽きた。


「……………。」

 あの夢の中で、一体どれ程の人達が力尽きたんだろう。

 目の前でそうなってしまったヒガナもそうだけど……一番ショックだったのは…ダイゴさんも力尽きてしまったことだ。


 それは心が壊れ、崩れ落ちてしまうような気がするくらい。


 どうやら…私はダイゴさんに支えられていたらしい。……考えてみればそうだ。確かに彼は私を何度も支えていた気がする。

 もしかしたら、それ以外の事もあったからかも知れないけれど……。


「………。」

 何だか怖くなってきた。あれは夢なんかじゃなくて、実は起きていたんじゃないのかって思えてくる。

 ベッドから出てポケモン達の入ったボールを見る。

 やはり夜明け前ということもあってか、皆眠っている様だった。…勿論、カイオーガのカイオネも。

「…夢、だよね。」

 自分に言い聞かせるように呟く。

 …すっかり目が冴えてしまい、もう一度眠る気にもならなかった。…今寝たら…またあの夢を見てしまいそうだ。


「…外、行こうかな。」

 ともかく気分転換したい。
 私はすぐに身支度を始めた。




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