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「とある少年」の話


 ―トクサネシティにて

 ルーファが彼女の色違いのメタグロスと戯れていたのを見ていたダイゴが思わず呟いた。

「やっぱり、思い出すな……」

「やっぱりって……あの時言っていたことですか?」

 首を傾げながらそう言うルーファ。聞こえていたのかとダイゴは苦笑しながら頷いた。




 ◆


 あの時、つまり隕石騒動の時である。


 流星の民のヒガナから「空の柱」と言うワードを聞き、どこぞの元チャンピオンにも聞いてみたらと言われた。更にはダイゴから連絡が入り、トクサネ宇宙センターに戻った時のことである。

 その時にダイゴがふと言ったのだ。


「……そういえば、きみと旅をしている白いそのコを見ていると思い出すな」

「え?このコ…メタグロスのことですか?」

 その時ルーファは銀色だと思っていたんだけどなーと内心考えていた。←
 ダイゴは頷き、意外なことを語りだした。

「空の柱に降り立つと言われている伝説のポケモン、レックウザ。ボクも昔、一度あいまみえたことがあってね」

 彼の言葉にルーファは驚いた。既にダイゴはレックウザを見たことがあるということに。

「あの時、一緒にレックウザと戦った黒いメガリザードン使いの少年トレーナーのことを……」



 ◆


「そう言えば、どこでレッソウ…レックウザに会ったんですか?」

 あの時はそれどころかじゃなかったので聞けませんでしたけど、と少し笑いながらルーファは言った。

「確か…メガシンカのルーツを探していた時だ。空の柱と少し似たような遺跡。ただ、その遺跡には少し特殊な仕掛けがあったね」

「仕掛け…ですか?」

 空の柱には特になかったなとルーファは思った。
 ダイゴは頷く。

「遺跡に入るには二つの異なるキーストーンが必要だったんだ。」

「二つの……ダイゴさんのメガラペルピンとそのメガリザードン使いのトレーナーさんのってことですか?」

「うん。そのお陰で遺跡への入り口は開けたんだ。」

 へえぇ!とルーファが声を上げた瞬間、少し強い風が吹いた。見ると、リザードンと見覚えのある少女がいた。

「あ……タイミング悪かったかな?」

 リザードンのグレムから飛び降りながらセレナはばつが悪そうに頭を掻いた。

「セレナ先輩!」

「やっほ♪ルーファちゃん!ダイゴさんもお久しぶりです。…あの、タイミング悪かったでしょうか?」

「いや、大丈夫だよ。…そういえば……」

 そう言ってグレムの首に着けているメガストーンを見、それからセレナを見る。

「セレナちゃんが使っているリザードンも彼と同じ黒いメガリザードンだよね。」

「彼……? あ、はい。確かにグレムに着けているのはリザードナイトXだから黒いです。」

 そうだよねーグレム~と言いながら撫でると、グレムは嬉しそうに目を細めた。


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