少年と少女と御曹司
でもまぁ、なんともなかったしいいか!
《そう言えばタクト、あの泥棒が持っていたチャーレムナイトは盗んだ物らしいです。ジュンサーさん達曰く、元の持ち主の所へ返すそうです。》
「ふーん…。ってか、アイツらメガ石とキーストーンの効果知っていたのか?」
《…さぁ?》
今となっては謎だ。でもそこまで気にしなくていいか。←
さてと、これでやっと帰れ……
「ダイゴさん!見てください、この石!」
「さっきの崩落で出てきたのかな?これは……」
再び和気あいあいとする二人。しかも、さっきセリアが"サイコカッター"で崩した壁から石やら何やら出てきたらしい。
あれっ?このパターン、どこかで……
「まさかあれか?さっきルーファのメタグロスが言っていたあの………!」
すると誰かがオレの背中を軽く叩いた。
振り返ると…やはりルーファのメタグロスがいた。そして哀れみの視線を含みながら頷いた。←
「……ま…」
マジかよおおおおおぉぉぉ!!
…二時間後、漸く終わった頃にはオレは灰になっていた。てか、そんな気分だった。←
「…あの二人のペース…着いていけねぇわ……。」
帰り道、思わずそう呟く。
幸い小さな声で言ったから二人には気づかれなかった。
因みに合計三時間で見つけられたのはメガ石が一つ、炎の石、闇の石などといった進化の石が複数だ。…それらがセリアが崩した所からそれらが見つかったというのは驚いたけどな。←
そう考えていると笛の音が聞こえる。…なんだ?
「ダイゴさん、タクト先輩、今日はありがとうございました!」
笑顔でルーファは言った。その手には黒い笛が握られている。確か…ルーファのラティアスのヒイロハを呼ぶための「無限の笛」だっけ。
ま、色々トラブルとかあって疲れたけど…
「…悪くはなかったな。」
「色々あったけど楽しかったよ。また機会があったらやろうか、ルーファちゃん」
「はい!」
ダイゴさんがルーファの頭を撫でて、えへへと彼女ははにかむ。
おいおい…二人だけの世界になってるぞ←
向こうの空から何かがこちらに向かってくる。多分、ラティアスのヒイロハだろう。
それに気づいたのかルーファはヒイロハに向かって手を降る。そしてオレ達の方を振り返った。
「それでは私はこれで!」
「うん。気を付けてね。」
「はい!」
「またな!ルーファ!」
「はい!タクト先輩も!」
言い終えるとルーファはヒイロハに飛び乗り、空を飛んでいった。途中でメガシンカの光が見えて、ヒイロハはメガラティアスになったのだろう。更に加速していく。
ルーファとヒイロハを見えなくなるまで見送った後、ダイゴさんはオレに向き合った。
「さてと、ボクも帰ろうとするか。タクト君はどうするんだい?」
「オレは近くのポケモンセンターに泊まるつもりです。ここからそんなに遠くないし、歩きか自転車で行くつもりです。」
「そうか、では失礼するよ。また会う時まで!」
「はい!」
そう言ってダイゴさんはボールからエアームドを出し、エアームドに乗って空へ飛んでいった。
「ふぅ…。オレも帰るとするか。早くポケセン行きたいしなー」
三時間も洞窟に籠ってたしな←
気づけば夕陽が沈んでいく。それぐらいの時間になっていた。
日が完全に落ちる前には着きたいなー、なんて思いながらオレは自転車でポケセンに向かって行った。
ある日のホウエン地方にて。
(ま、流石にもう一度三時間洞窟籠りは勘弁したいな←)
(《…本音、出てますよタクト》)
(…いいだろ、セリア。)
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