少年と少女と御曹司
とはいえ、ポケモンは戦闘不能になっていても、トレーナーは元気だしな……下手にやれば人質、とかいってやってきそうだ。…特にルーファ当たりが狙われそうだ。
「…あんまりやりたくねぇけどなぁ……」
ま、こちらの誰かが傷つくよりはマシか。
「セリア、二人の注意を逸らせ。」
《…わかりました。》
セリアが二人の方に行く。そして、岩壁に向かって"サイコカッター"を気づかれないように放った。
当然、脆くなっていた部分が崩れ落ち、砂塵が舞う。
後ろをみると、砂塵のせいで二人は見えなくなっていた。
「お前ら…!タダで済むと思うなよ!!」
いつの間にか空手王の方も来ていた。
……丁度いい。一気に出来るな。
腰につけた珠の付いた飾りに触れると、一瞬にして刀になった。
でも鞘からは出さない。
精神を高め、地面を蹴り上げる。
一瞬で空手王とサイキッカーの目の前に躍り込んだ。そのことに二人は目を見開く。
「なっ…どうするつもりだ、」
「安心しろ、気絶してもらうだけだから。」
そう言ってオレは刀の柄で鳩尾を殴った。
「お前…一体、」
もう片方の男も同じ様に鳩尾を殴る。
どさり、と少しずれて二人は倒れ込んだ。
「…ふぅ。」
思わず溜め息を吐いた。刀は元の腰飾りに戻っていた。
「セリアー、もういいぞ。」
《なっ!?早すぎです!2秒位じゃないですか!!》
「……マジで?」
なんなの、あの「能力」…怖すぎるわ←
辛うじて制御出来ているとはいえ……もし出来なかったらどうなるんだ…。
「ケホッ……タクト先輩、大丈夫ですか!?」
砂煙が収まってきたらしい。向こうからルーファの声が聞こえた。
返事したいが…取り合えず、コイツらを縛り上げるか。目を覚まされたら困るし。←
◆
…てな訳で、ブレイン&パワーズ擬きの二人を縛り上げたあと、警察に通報。駆けつけたジュンサーさん達が凄く驚いていた。
何故なら、現在ホウエンの一部で被害が拡大しつつあった泥棒二人組がいたらしく、それが丁度この二人だったという。手口はオレが考えていた通りの方法らしい。
まあ……その例の泥棒達も相手が悪すぎたよな、うん。
様々な事件を解決してきた新チャンピオン、ルーファ。
チャンピオンを相手にするとか…仮にダイゴさんが狙われても同じ結果になったんじゃねぇのか?
《それならタクトも言えませんよね?各地方のリーグ挑戦の経験はかなりありますし。》
「…何気に心読んでるよな、セリア。」
《…声に出てますから。読んではいません。》
マジか!声に出してたとか……←
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