少年と少女と御曹司


「やっぱりな。さっきのワイドガードはママンボウの仕業か。」

「なっ!?お前、いつの間に…!」

 サイキッカーの男はオレに気づくと驚いた。あれ…このパターンは…どこかで……

(あ……!)

 空手王とサイキッカー……つまり。

「ブレイン&パワーズか、お前ら。」

 たまに見かけるブレイン&パワーズというトレーナー達。正反対と思われる空手王とサイキッカーがタッグを組んだやつらの事だ。

 まさか、それをこんなことに利用するなんて……

「呆れた。ましては人から盗る気なんだろ?」

「な、何故そこまでわかる!?」

 そこまで言ってサイキッカーの男はしまった!と言うような表情をして口を押さえた。

 まさかこんなあっさり認めるとは、な……流石に予想外だ。←

「相方がメガ石を手に入れた。だがキーストーンはない。どこで手に入れればいいかわからない。そしたら偶然オレ達がここに来た。三人もキーストーン持ちで。なら一人くらい盗ってもいいんじゃないか?なんて思ったんだろ。」

「き、貴様!」

「あのなあ…そんなことしたら、ポケモン泥棒よりタチ悪いぜ?ま、諦めるんだな。」

 そう言い切るとサイキッカーの男はワナワナと震えだした。

「おのれ…!ならば、力ずくでも…!ママンボウ!水の波導!」

「させねぇよ!ダノロビ、リーブレード!!」

 ボールの開閉スイッチを押してジャローダのダノロビを繰り出し、"リーブレード"を指示。ママンボウの背後を取ったダノロビはそのまま"リーブレード"をぶち当てた。

 効果は抜群。その一撃でママンボウは倒れた。

「な、な…っ!?」

「勝負あったな。」

 まぁ…イッシュを旅した時の相棒だし、レベル的にもダノロビがかなり上だったんだろうな。

「これだけだとは思うな!ウィンディ!」

「!」

 まさかまだいたのか…!しかもウィンディとか…今度は相性が悪すぎる。運の悪いことに、今日はエンペルトのエンペはいない。てか、サイキッカーなのになんで…?

 さて、どうしたもんかな…。

「何か騒がしいと思ったら……こちらでもバトル中かい?」

「だ…ダイゴさん!?」

 メタグロス(ルーファのではない)に乗りながらダイゴさんがそう言ってきた。笑顔だが…目は笑っていない。

「ってセリア!?」

 いつの間にか勝手にボールから出ていたのか、ダイゴさんの傍らにはセリアがいた。まさか……

《はい、一通り話しました。彼らはルーファさんのキーストーンを狙っていると。》

「マジかよ、セリア……」

 後で聞いた話だが、ルーファのメガバンクルはダイゴさんがあげた物らしい。…そりゃ余計キレるわ。ましては恋人のを、だろ……。
 そして元とはいえチャンピオンであった人物。

 大体見えたぞ、サイキッカーの男の未来予想図!!←

 それを(勝手に)想像して震えていると、メタグロスから降りたダイゴさんはオレの近くに立つ。

「メタグロス、ギガインパクト!」

(ほ、本気だーーーーーッ!!)

 いや、メガラペルピン使ってメガシンカさせてないからまだ本気ではないか?どのみち大ダメージ確定だろうけどさ、そんな大技!←


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