少年と少女と御曹司


《どうします?タクト》

「どうするって……」

 目の前にはメタグロス。どうも逃がしてくれそうにはない。つまり…諦めろってか?

「わかったよ……もう。」

 ……折れました。もうなにも言うな、うん。←


 なんて思っていたら。

「は?」

 ルーファとダイゴさんが変なヤツに絡まれている光景が飛び込んできた。

 いや、別に怖そうとかそういうヤツではないみたいだが……なんか、キャラの濃さそうな空手王の男のトレーナーが(一方的に)二人に話しかけていた。

「――…どうしても、と言うのならバトルで決めましょう!」

 ルーファがそう言うのが聞こえた。
 …色々話の筋が見えないんだが……そう思いながら二人の方に近づいて行き、ダイゴさんに話しかける。

「一体なにが…?」

「どうやら彼もメガストーンを欲していたみたいでね。だからバトルで決めることにしたみたいだ。でも…キーストーンを持っていないのに、何でだろうか……」

「あ、本当だ。」

 ダイゴさんの言う通り、相手の空手王の男はキーストーンらしき物を身に付けていなかった。

 メガ石…メガストーンとキーストーンがあることによってメガシンカが出来るようになる。なのに、重要であるキーストーンすらないなんて……なんか引っ掛かるな……。

 何となく、そこから少し離れた所から見てみることにした。


「いくぞチャーレム!」

 相手が出してきたのはチャーレム。何故か、チャーレム専用のメガ石「チャーレムナイト」を持っていた。だが空手王はなにもしない。何かを懐から出すような素振りすらしない、となるとやはりキーストーン持ちではないんだろうな……でもなんで………


 ルーファもその事に気づいたのだろうか、首を傾げている。
 戸惑いながらもボールを投げ、ルーファはラグラージのラグハを繰り出す。持ち物は勿論「ラグラージナイト」だ。たまに「気合いの襷」の時があったが…あれはバトルハウス用なのか?

「チャーレム、飛び膝蹴り!」

「ラグハ、岩雪崩!」

 やはり素早さでは負けているせいか、チャーレムの"飛び膝蹴り"がラグハに当たる。あれ外すと結構ダメージ食らうんだよな…なんて思いながら見ていると、ラグハはまだ余裕があるみたいだ。

 そしてルーファの指示通りに"岩雪崩"をチャーレムに当てた。先手を取っていたら、もしかしたら「怯み」でチャーレムが動けなかったかも知れないな…。

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