それはきっと
「タクト、どうかしたのかい?」
Nの声に我に返った。…どうやらかなり考え込んでたらしい。
「別に…なんでもねぇよ。」
「ならば何故、泣いているんだい?」
どうりで視界がボンヤリしている訳だ。涙を拭うと、心配そうな表情をしたNがこちらを見ていた。
「なんでもねぇよ!…でもよ…お前、かなり変わったな。」
きっと、リアンが「人間らしく」なったNを見たら驚くだろう。
オレの言葉にキョトンとするNを横目で見ながら、また涙が溢れてしまわないように空を仰いだ。
嗚呼、
きっと、この涙は
(それはきっと、オレの覚悟であり)
(オレがリアンを想う気持ちなんだと感じた)