06 #DISAPPOINTMENT
「イツキ、少しいいかい」
「……なんですか」
【僕】が声を掛けると、少しだけ顔を上げる。
しかし目深にフードを被ったままなのでイツキの表情はよくわからない。
「…その、こんな事になってしまって申し訳ないと思っているよ。」
「……それはこちらのセリフです。助けると言ったのに、何も出来ていない…役立たずですよ、ボクは……」
そう言ってまた膝を抱えようとする。
「…まだ、助けられると言ったらどうするんだい?」
ぴたり、とその体勢になるのを止める。
「それはどういう……?」
「【僕】にもわからない。何せ最初に言いだしたのはミイヤだからね」
「ミイヤが…?」
少しだけ顔を上げるイツキ。
やっと目元が少し見える。
少しだけ泣いていたのか、目元が赤くなっていた。
「…ミイヤが言うという事は、まだ本当にチャンスがあるかもしれませんね」
そう言うと目元に残った涙を雑に拭い、彼は立ち上がった。
「どうせ、ミイヤの事でしょう。ミコトも連れてこいとか言ったのでは?」
「言われたね」
「はぁ……それなら」
軽く溜め息を吐く。そしてミコトが引き籠っている空き部屋の扉をノックする。
「ミコト、少しは落ち着いたんじゃないんですか?」
「落ち着いたけど…うぅ……」
扉の向こうから弱々しい声が返ってきた。
「ならいいですよね。入りますよ。拒否権はない、ので!」
そう言ってイツキは容赦なくドアを蹴破った。
「ギャーーーーーーーーーーーッッ!!?シャイ○ング!?」
「えー?斧で壊してないけどなぁ」
※一応トレスの挿絵改め落書き
『うーん、シリアスが一瞬にして崩れた音がするぞ!』
……なんだろうか、この光景。
思わず固まっていると、誰かに肩を叩かれた。
振り返るとそこにいたのは。
「ナゼコンナ騒ギニナッテイルノデスカ」
明らかに不機嫌、の顔をしたVoidollがいた。
この後、3人揃って注意されたのは言うまでもない。
…幸いにも扉の修理もすぐに終わった。
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