06 #DISAPPOINTMENT
諦めていない。
「……【僕】にまだ、そんな感情が残っていたとはね」
13に指摘された事に思わず目を細める。
歩き出した先は、失意に項垂れる協力者達。
「まだ何かがあるとは思えないけれども。それでも【僕】は諦めたくはないらしい。」
彼等は十分手を尽くした。尽くしてくれた。
しかし結果は報われず。
……それでも諦めきれない【僕】がいる。
「さて、どうしようか」
『ほほう、諦めていないと。それは本当かな?』
……何故か【僕】の携帯端末からミイヤの声が聞こえた。
手に取ると、画面にニコニコの笑顔のミイヤが映されていた。
『あ、勝手にハッキングさせて貰いました☆』
「何をしてくれてるんだい、君」
『…というより、まずは君にだけに教えたい事がある。』
「【僕】にだけ?」
どういう事だろう、と首を傾げると彼女は不敵な笑みを浮かべる。
『……まだ諦めていない君への朗報さ。
簡潔に言えば、ヒサメちゃんを助ける手段はまだあるって事』
「!」
『おっ、良い表情!とはいえ、これには情報共有も大事なんだよねぇ、だから凹んでる二人にも立ち直って貰わないと』
「……その言葉に偽りはない?」
まだヒサメを助けられる、と聞いて一瞬舞い上がりそうになったが感情を抑える。
…ただ元気づけるだけの嘘という可能性も否めない。……いや、このタイミングでそれを言われたらミイヤへの信用はがた落ちするのだが。
『嘘じゃぁないよ!なのでホラホラ!二人を頼むよ!!』
それだけを言うと、一方的に繋げた通信をまた一方的に切った。
「…やれやれ、嵐のような存在だね。」
とはいえ、彼女の言う事も気になる。
……一先ず、廊下に座り込んでいるイツキから話しかけることにした。