04 #THE END
──コンパス
「あ、零夜さん…!何処に行ってたんですか!?」
コンパスの世界に入ってきて早々、デルミンが今にも泣きそうな表情で駆け寄ってきた。
…あぁ、これはもしかしなくても。
「大変なんです、ヒサメさんが…ヒサメさんが急に倒れて…!」
「…デルミン、【彼女】は今どこに?」
「は、はい。ひとまずヒサメさんの部屋に13さんと一緒に運んで…今は安静にしてもらってます」
「そう……」
ぼんやりとしたまま、答え、デルミンの言った通りヒサメの部屋に足を向ける。
「…れーや君、大丈夫?」
「………わからない」
心配そうにミコトに聞かれたが、わからない。
不安が、ずっと、心を蝕んでいる。
*
数分前までは、あの二人は何ともなかった。
──じゃあ、目の前の惨状は何だ?
「っ…間に合わない、Bデータイレイザーの回復より、破壊の速度の方が早いッ…なんで、なんでぇ……!!」
額にはうっすらと汗が浮かび、ずっとキーボードを叩き続けているミコト。
「リジェネレーターも最大、Bデータイレイザーも最大、なんなら119ナノマシンを一部応用して最大にしてるっていうのに、なんで…ッこんな、こんな…こんなの…みたことない!」
「ボクが出来る可能な限りの回復スキルは回してますが…それでもダメですか、ミコト…!」
「ごめん、悪いけど足りない、ぜんっぜん足りてない…!!」
「そんなっ……!」
イツキにも苦悶の表情が浮かぶ。
ただ【僕】はそれを、呆然と見ているだけだった。
…どちらにせよ、【僕】に出来ることはほぼない。
彼女らの前には、ヒサメがベッドに横たわっている。意識がないのか、ミコト達の悲鳴のような叫び声でも目覚める様子はない。
(嗚呼、結局)
この世界線も、失敗ということなのだろうか──。