04 #THE END
「一応聞くけど…仮に【君】がこの手紙やメールを受け取る立場だったら、どう思うのかな?」
「そうですね…毎回『不参加』と言っているのに、しつこく送ってくるので一発殴りに行く…というのが今のボクでしょう。昔のボクなら、折れて参加するかもしれませんが」
ただし、これはあくまでも「人間性がズレた」ボクの考えであって。ヒサメがどう思うのかはわからない。わからない、が想像するくらいはできる。
命令に背けば、どうなるのか、という恐怖があるのであれば、参加する可能性は十分にある。
まして、ヒサメの周りにはヒーロー達がいる。そのヒーロー達に手を出す、なんてことを言われたのなら……
(あの子ならきっと、「参加する」を選ぶのでしょうね)
ヒサメにとっての安息の地が、コンパスなら。
そのコンパスという場所を奪われることが最大の恐怖だろう、それこそ──「死ぬ程失うのが嫌」というレベルで。
……あくまでもこれらはボクの憶測。
如何せん、人間性のズレがあるので、どこまでが当たるかわからない。
「…いずれ、折れる、か。」
「他に考えられるのは…君達ヒーローがある意味人質に取られたか……『参加しなければ、ヒーロー達に何かするぞ』的なことでも抜かしたんじゃないんですかね?」
ヒーロー、と聞いて零夜が驚いたように目を丸くした。
「ッ【僕】らヒーローの為……?」
「……あくまでも憶測ですからね」
憶測である、と釘を刺す。
そうだね…と少し俯きながら零夜が答えた。
引き出しの中にあった手紙を一枚を手に取る。研究者の名前はアハト。他の手紙の差出人も同じだ。
ベッドの上にあるノートパソコンを開く。画面には「薬学研究者」という役職についてるアハトの資料があった。
…ミコトが気味悪がっていたメールを開いた。確かに毎日アハトから同じ内容のメールが送られてきているのがわかる。
返信内容のうち、さすがに怒ったような内容もあった。
そして、
アハト側のメールは相変わらずだったが、それに返信したヒサメのメール内容が気になった。
──実験には参加しませんが、一度会って話ましょう。
(………)
──なんだろう。この胸騒ぎは。