04 #THE END
…という訳で、なんとかヒサメの部屋に侵入することが出来たのでした、まる。
「んー、あんまり物とか置いてないんだねー」
「…あの子、ここで休むよりコンパスの方に行きたがっていたからね。私物もそちらの方が多かったかな」
「あー…その様子だと、ここには居たくないというヤツですかねー。」
推測だけど、多分ヒサメが宿舎で休むことを拒否しているのは実験のことを思い出したくないからなんだろう。…相当この施設が嫌なんだろうな、コレ。
零夜曰く、私物はコンパス側の方に置いている、ときたか。…あくまでも私物、だろうから日記の類はそちらの可能性はあるかな。
いやでも……逆に言えば、実験関連の資料とかはこちらに置いている可能性は…ある、のかも……?
「…机の引き出しの中とかも探してみるか。あとはパソコンもあるっぽいし、メールとかそういうのも確認しようかなー」
…零夜からジト目で見られたけど、状況が状況だからか、それ以上は何も言われなかった。
「それじゃ、引き出しの中身は【僕】が確認しておくよ。…あまり気乗りしないけどね」
「うん、お願いするよー。で、イツキは…誰かがこの部屋に入ってこないか見張りしていてくれる?」
「まぁ…それくらいなら…」
イツキが見張り、零夜が引き出しの中の確認、そして私がヒサメのパソコンの確認、ということになった。
机の上にあったノートパソコンを持ち出し、ベッドの上に座る。机は零夜が確認するから邪魔にならないように場所を移した。ベッドならギリギリコードも届くみたいだしこれでいいだろう。
「さぁて…」
まずは最初の問題。さすがに電源付けてすぐにデスクトップというわけではないらしく、パスコードを入力してくださいと表示された。
「にゃー、その気になればそういう自作ソフトで解除出来るけどまだ使いたくないなぁ…。」
「なんて物を作ってるんだい、【君】…。」
「そりゃハッカーですしおすし。んー適当に0を10回連打してみるか」
「そんな初期設定もびっくりなパスな訳が「あ、行けた」……終わったらヒサメに注意しないとダメだねこれ」
さすがに零夜も引いていた。
うん、確かにこれはセキュリティ激甘にもほどがある。というか0を10回入れたとかガバガバ過ぎない…?せめて誕生日にするとかいう発想はなかったのかな…?
(と思ったけどひーちゃんはホムンクルスだから人間の「誕生日」じゃなくて「作られた日」になりそうだな…。いや、それでもいいからその年月日くらいにはして欲しいなコレ…)
ヒサメのガバガバパスワードにドン引きしながらも、デスクトップに入れたのでまあよしとしよう。…零夜だけじゃなくて、私も一緒に注意した方が良さそうな気がしてきた。