04 #THE END
確かに警戒することに越したことはないだろう。
こればっかりはもう、運だ運。祈るしかないわ……。
*
…そんな祈りが効いたのか、ヒサメの部屋の前まで誰にも会うことなく到達できた。
が、また新たな問題が発生した。
「部屋の鍵開いてるわけないよねー知ってた……」
戸締りは大事だ。ちゃんと出来てるヒサメは偉いよ、うん。
…まあ不法侵入しようとしてる私らが悪いのでこうやって悩むのはある意味当然っちゃ当然だけども!!
「合鍵とか持ってたりは…」
ちらりと期待を込めて零夜を見るが、無情にも零夜は首を横に振った。
「残念ながら持ってはいないよ」
「持ってないかーーー…」
「…管理人室でも行って、軽く絞めてマスターキーでも取ってきます?」
「イツキはすぐ物騒発想になるな!」
小声でツッコミを入れながら、自分のバッグを漁る。
そんな私と閉じられたドアを交互に見て零夜がハッとした様子で声を掛けてきた。
「…まさか、ピッキングセットでも持ってるのかい?」
「そんな本格的な物はないよー。あってもコレだから」
そう言って取り出したのは…よくある細めのヘアピンだ。
「……正気かい?」
「うん!半分は正気じゃないね!」
自分も否定はしない。
ただ、もしかしたらワンチャンあるんじゃないかな精神でやってみようとしているだけだ。
という訳で、鍵穴にヘアピンを突っ込む。そして適当にガチャガチャと動かしてみる。
「こういうのはTRPGとかでもそれなりの技能値ないと出来ないだろうからね、今の私がやってるのは初期値チャレンジのやつと等しいんだよねー!…これでダメだったらイツキの強行策実行するしかないんだけども」
イツキの強行策の実行は正直の所避けたい。避けたいのでこういうことをしているが、こんなの運ゲーみたいなものだ。
最初から期待なんて「ガチャッ」…ん?
今、なんか、妙に、手応えが……。
恐る恐るドアノブを握る。そしてソッと開けてみる。
キィ…と音を立てて、ドアが開いた。
恐る恐る、という感じでイツキ達と顔を見合わせる。
「………」
「………」
「………開いたわ」
「嘘だろ…」
「嘘でしょう…」
ほぼ同時に、同じ感想を言われた。
うん、私も驚いてるよ!!!!
「だってヘアピンでガチャガチャして開くとか思わねーじゃねーですか…!私もびっくりしてるから…!!」
「えぇと、一応、目標達成したから良いんじゃないんですかね…?」
「いっつー…意外とポジティブシンキングだな…?」