04 #THE END
「ワンチャン塀を越えて侵入出来ればいいのだけども、さすがに警報とかありそうだよね…」
『あー、ならジャミングとハッキングをして一時的に無効化すれば行けるんじゃない?』
アタシがこちらから妨害してみるから、とミイヤが言う。
「むー……人気のなさそうな場所から入れるならそれはいいと思う。ただ、問題は結構塀が高いよね、っていう……」
脱走や部外者からの侵入、そして周囲は森とはいえ、外から見えないようにする為になっているのだろう、塀はそこそこ高い。
身体強化を一時的に掛ければ越えられなくもないけれど…。
「れーや君はどう?」
「エイワズで飛べるから問題ないよ」
「エイワズ便利だな!?」
…どうやら私の心配は杞憂に過ぎないようだ。
で、イツキは言わずもがな問題ない、というように頷いていた。
「ミコト、どうします?キミの場合、身体強化を前提でないと無理そうですけど」
「ストレートに言うな~…事実だけど。」
「ボクが運びましょうか?」
「…………オネガイシマス」
「何故カタコトなんです…?」
そりゃ、イツキの運び方が若干雑なんだよなぁー…!という過去の経験に基づくアレコレが原因だからだよ…!…などと言えるわけもなく。もう腹を括るしかない…と諦めるしかなかった。
…何故か零夜から憐みの視線を送られたけど気にしないでいよう……。
***
零夜はエイワズに乗り、地上から数メートル浮かんでいる。イツキも近くの木の枝を足場として様子を窺っている。
…で、私はそのイツキに抱えられていた。よりによって横抱きというのがまた何とも言えない。
「…ミイヤ、準備は?」
一人悶々としている私をよそにイツキがミイヤに問いかける。
『よし、今から10数えるから0になったら突入していいよ。ただし、そこから10秒以内にね!』
「10秒か…それだけあれば十分でしょう。零夜は大丈夫ですか?」
「こちらも問題ないよ。」
両者ともに問題ない、というのを確認した為、ミイヤがカウントダウンを開始した。
『10…9…8…』
枝の上というのもあって細心の注意を払いながらイツキが数歩施設の方へ寄る。
『7…6…5…4…』
さらに数メートル上昇し、零夜もイツキと私がいる枝と同じ高さまでやって来た。
『3…2…1…0!ハック&ジャミング完了、行って!!』
「ふっ」
「行け」
ミイヤの声を聞くと同時にイツキと零夜が飛んだ。