04 #THE END
西暦2020年
私達の居た世界線とは異なる別の世界、その悲劇が起きる1ヶ月前。
場所は、ヒサメ(無理矢理入れられているということになってる)をはじめとするホムンクルス達がいる研究施設。
私達はその施設の近くにいた。
「いっそのこと、この研究施設ぶっ壊しません?」
そう言ってイツキがニコリと笑った。
ただし、笑ったのは口元だけで、目からは殺意が滲んでいる。
「気持ちはわかるけど、そこまで行くと別の可能性作るかもしれないからやめてね、いっつー」
「どうしてこう…彼は物騒なのか…」
「人体実験の被害者ってのが原因だろーね…特に非道なことやってれば猶更だよ」
この場合のイツキの行動理念は「行き過ぎた粛清」になる。
自分や、かつて見た同じような被害者(ミユキやSKYの3人とかもそうだろう)達をこれ以上生まないように、と実験を行った人を全て殺す。
イツキにとって、それを行うのは「粛清」であり、「復讐」ではないのだ。
…ただし、それは明らかに行き過ぎた粛清である、という問題が残る。
これらを零夜にざっくり説明すると、成る程ね、と言葉を返した。
「だから、ヒサメをよく気にしていたんだね、彼は」
「うん。…だからこそ、今回の出来事はイツキが怒ってしまうのは仕方ないんだよねぇ…」
一応暴走しないように宥めたりするつもりではあるが、私で何処まで止められるのかはわからない。
というか、暴走されたら手に負えないんだよなぁ……!
(そうならないように祈るしかないわ…)
切実に、そう願うしかない。
「…さて、元凶ぶっ飛ばすのは間違いないけど、いかんせん情報が少なすぎる。まずはどうにかして侵入して…情報盗むしかない、か」
「白昼堂々、盗むとか言うんだね、【君】」
「だってそうじゃん…今からやる事はある意味『悪い事』なんだよ?なら徹底してやってやろうじゃねーか!ってね」
『こんなのが元英雄の発言とは思いたくねーですねーホント。』
と、ミイヤが通信を入れてきた。
「言うねぇ、みーや…。そんなことより、情報少しくらいはくれてもいいんだよ?」
『言うと思ったので今送りましたー。』
キーボードを出現させ、画面を展開させる。そこにミイヤから送られてきた情報を映した。
「館内図と…情報がありそうな場所のマーキングもされてる、さすが、みーや!仕事が早い。」
『ふっふーん!もっと褒めるがよいぞ!』
声だけではあるが、多分胸張ってドヤ顔しているのが浮かぶ。
「…で。何処から侵入するんです?さすがに正面から(強引に)行くのは得策ではないですし」
「今物騒なこと考えてたよね、イツキ。…過去に何度かヒサメを連れて帰る為に入ったことはあるけど…正面からは避けた方がよさそうだよね」
「だねー…何度か来ているっていうれーや君ならまだしも、バリバリの部外者の私達がいるのはさすがに怪しまれるでしょーし…」
かといって、イツキの強行策を採用するわけにもいかない。…というかやったことあるのか、その正面からの強行突破…。