03 試練は交錯する
「……ちょっと、アンタ達…まさか…」
「言ってなかったとか、言わねえよな?」
ジュリエッタとナガミミからの視線が痛い。
あー…これはやばいなぁ…と逃げ道を探していると
「……言ってなかった、ですね…」
と、イツキが申し訳なさそうに答えた。
「ばッ…ばー---------かじゃねーのかああああああああああ!?」
当然、ナガミミに思いっきりどつかれた。
◇
「成る程、ポータルではなく、…あのミイヤの力で来ていたという訳だったんだね」
「そう言う事デス…」
ナガミミにどつかれたところをさすりながら、どうやって私達が色んな世界に行けていたのかを零夜に説明する。
…どうやら彼は少し勘違いをしていたようだ。
過去に「私達が居る本来の時代にはポータルというタイムマシンがある」と言ったのが原因で、零夜的には「ポータルを使ってコンパスの世界に来ている」と勘違いしてしまっていたようだ。
…ずっと引っかかるとは思っていたけれど、成る程…この勘違いだったかー、思いながら次はどうしたモノか、と考えていた。
「ミイヤに協力してもらうにしても…第一印象最悪だしねぇ……頼み辛い、よね…」
「……そうだね」
居心地が悪そうに少し視線を逸らしながら零夜が頷く。
うーん…どうしたモノか……。
そこにナガミミが私と零夜を交互に見て口を開いた。
「誤解は解けた様子だが……なんだ?アイツ、やらかしたのか?」
「やらかしたと言えばやらかしたね、うん。」
「フーン、だからそんな微妙な空気になってんのか…」
「ソウデスネー…」
なんでカタコトなんだよ、とツッコミを入れられたけどどうしようもないんだよなぁ…と遠い目をする。
なんせ、最初の出会いがあまりにも最悪過ぎる。
一応和解…したとはいえ、あんなことした相手に頼むという気力はあまり湧かないだろう。
チラ、と零夜の顔を見ると複雑そうな表情を浮かべていた。
そりゃそうなるよね、わかる。
「……えーと、ミコト…ちょっといいですか?」
「んぇ?どったの、いっつー」
悶々と考えていると不意にイツキに声を掛けられた。
「その、ミイヤに頼むんですよね…。だったら、ボクに任せてくれませんか?」
「イツキが……?」
「はい。…それに、ミイヤはある程度なら…ボクの言う事には甘いような気がするので」
…成る程、言われてみれば確かに。
今までの経験を考えると、そういった傾向はあると言えばある。
「ふーむ、確かに効果はありそうだね…」
「でしょう?…だから、此処はボクに任せてください!」
少しだけドヤ顔をしながら言うイツキ。
それを見て零夜が少し目を丸くしたがすぐに「頼むよ、イツキ」と返した。
***
「という訳なんです、ミイヤ。どうか力を貸してもらえませんか。」
「んー…イツキの頼みなら……まあ、しゃーないか!おっけー!」
「「軽っ!!」」
思った以上に軽くオッケーが出た。
「うー…なんか悩んでた私がバカみたいなんですけどォ…!」
「…そう言う事もあるよ」
ぽん、と肩を軽く叩きながら零夜に慰められた。
「では頼みますよ、ミイヤ」
「ふふん、任されたー!」
試練は交錯する
(漸く、手筈は整った)