03 試練は交錯する


 ***

「えーっと……?どゆこと…?」

「…もう一度言うわよ。
 確かに能力の測定自体は問題なく出来たわ。でも、時々ブレるのよ。その所為なのかしら、世界線の特定がどうやっても出来ないの」

 セブンスエンカウントから出て、ジュリエッタの所に行って結果を聞いた。
 そうしたらこう答えられたのだ。

「結果がブレる……?」

「測定機能自体はちゃんと動いているのよ。でも、結果が毎回異なるの。」

 気になって画面を覗くと、確かに異なる数値が毎回出ているようだ。
 …おわーお、これは予想外……。と考えながら自分なりに零夜のステータスを見てみる。

 ハッカーの異能力者故なのか、ジュリエッタ程のブレはないものの、確かに数値は時々全く別のモノが出てくる。なんじゃこりゃ。


「成る程ね…【僕】と【我々】が繋がっているのが原因かな」

 顎に手を当てながら私が出した画面を見ながら零夜がそう言った。

「あー…アレだっけ、別の世界線にいる【零夜】君たちと繋がっているんだっけ…。」

「そうだよ。」

「んー……それらを考慮して再度測定……してみても、うーん…何とも言えない…。」

 うーんと唸っていると、ジュリエッタが私の肩をポン、と叩いた。

「それもあって、なんとか時代の特定は出来ても世界線の特定も出来なかったわ。」

「…マージですか……」

 となると、ポータルの使用は出来そうにない……という事…?

「………い、一応聞くけど…世界線を渡る要領で時代を遡るという事は…?」

「不可能ではない。ただ…ある程度能力制限もあるから、思うようには出来ない。それ以上に…身体への負担も大きいね。」

「むむ…つまり負担なしでやりたかったからポータルの利用をしたかったという事か…」

「そうなるね」

 淡々と零夜は答える。
 うむむ……万全の状態で事の解決をしたいという気持ちはよくわかる。だからこそ、この方法を取ろうとしたのだろう…。
 …でも何故だろうか、微妙に何か引っかかる…?

「……力になれなくてごめんなさいね。」

「こちらこそ、急に無理難題を押し付けて済まなかった。」

 ジュリエッタと零夜のやり取りを見ながら、思考し続ける。

 …と、ここまでずっと黙っていたイツキが声を上げた。

「となると……やはりミイヤに頼むしかないのでは……」

 …まあ、そうなるよねぇ。

「……?どういうことだい…?」

 キョトンとした表情でイツキを見る零夜。

「ポータルが使えないのなら、ボク達を色んな世界に飛ばしている張本人、ミイヤに頼むしかないんじゃないか、という話ですよ」

「あー、アイツなら出来るんじゃねーの。色んな意味で反則技もお手の物だしな」

 イツキの意見に同意するように、何とも言えない表情をしているナガミミがそう答えた。

「あー…まあ、その手はあるっちゃあるかもだけど「待って」…あんなやり取りあったからねぇ、無理だよね、れーや君…」

「いや、そういう意味ではなくて…君達は、ポータルを使って【僕達】の居る世界に来ている訳ではないのか…?」

 その言葉を聞いて、部屋の中がシーンと静まり返った。

 
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