03 試練は交錯する
そして狙いの的になっているイツキはというと、程々に戦ったり回避したりして一か所にうまく纏まる様に引き寄せていた。
と、近くでバチ、と普段とは違うプラズマが弾けるのを感じた。
いや、弾けただけではない。何かが「開いた」ように感じる。
「ゲートオープン、デルタブレインを起動する」
するり、と零夜が自分の中から何かを押し出す様に手を突き出す。
……実際、零夜と同じ姿をした人型のプラズマが出てきた。
ゆら、とソレはマモノ達が居る方へ向かい、触れて──ふわっと弾けた。
「永遠より遠い刹那、綺麗だよね」
弾けた瞬間、強烈なプラズマの渦が生まれ周囲にいたマモノ達を巻き込んでいく。
──シークレットオーダー【δ】
以前聞いた零夜の
…即ち、先程私が使った秘奥義「天罰ジャック2021」のような切り札。
いざ目の前で見ると、なかなかに強力なようで…。
かなりの数のマモノとドラゴンが消滅していた。…残ったとしても、しばらくはスタンしていて身動きが取れないだろう。
……それを、イツキが見逃すわけもなく。
「この身の怒り──存分に味わいつくして頂きましょう!!」
ルーンで吹雪を巻き起こし、動けなくなっているマモノ達を氷漬けにさせる。
そして氷の槍を手にして──突撃した。
カツン、と氷の槍を地面に付け一つ息を吐く。
「オーディンの怒り──ボクを怒らせると…こうなります」
直後、氷が砕け散る。
そこには氷と共にバラバラになったドラゴンとマモノ。…既に命は尽きている。そのまま消滅し始めた。
……敵の気配はない、これは…。
「終わり……終わり……終わり……だ」
「終わりって事…かな?」
「ふぅ……こんなところでしょうか」
淡々と言う者、ちょっと心配しながら言う者、少し警戒をしながらも一息つく者。
三者三様、それぞれの反応をしながら戦闘態勢を解いた。
『おう、ありがとな。いいデータが取れたぜ』
「終わり?ホントに終わりだよね?」
『もっとおかわ「疲れたから勘弁してクレメンス!!」冗談だよ』
キヒヒと笑う声がして、思わず溜め息を吐いた。
(…まあ、これで何とかなるはず、そうだと信じたいなぁ……。)