03 試練は交錯する
「あの~…ナガミミ様…?なんですかねぇその不穏な言い方はァ!」
『キヒヒ!大当たりだぜ、ミコト。
──来た、ドラゴンだ!!って奴だよ!』
直後、ドラゴンの気配と圧を感じた。
──オオオォォン!!
残っていたマモノを蹴散らしながら咆哮と共に現れたのは両肩にでっかいツノを持つドラゴン・ブラックホーン。
「な……っ!?」
「マジでやりやがったー!?」
「マジでやりますかー!?」
(ドラゴンなんて多分恐らく初めて見たであろう)零夜の驚いた声、そして思わずツッコミを入れる私とイツキの声が見事にハモった。
『だってテストプレイだぜ?当然ドラゴンも含むに決まってるだろ?』
キヒヒ、と笑い声を上げるナガミミ。
わかっててやってるでしょ、この美少女兼元地球外生命体…!!
というか、それより……
「私の記憶違いじゃなければ、なんだけどさ…ブラックホーンって確か…雷耐性持ちのドラゴンだったような…」
『おっ当たりだぜ、ミコト』
や、やっぱりか…と額に手を当てるとイツキが驚いたように私を見た。
「よく覚えてますね…」
「いや覚えておいてよいっつー…」
「だってドラゴンなんて最終的に高火力で殴れば大体死にますよ?」
「超脳筋思考!!そんなんだからどーりで現役時代生傷絶えないわけだ!!」
…なんかさらに頭が痛くなってきた気がする。
VR酔いかな~…(現実逃避)
「…って、雷耐性!?!?!それってれーや君の攻撃手段殆ど封じられてません!?!?」
「一応そちらの世界の無属性に該当する攻撃も出来なくないけれど…。」
「よし来た!じゃあそれで行こう!!」
私がそう答えると零夜がドラゴンに向かって手を翳す。
「爆ぜろ」
するとドカン、とブラックホーンの肩辺りが爆発した。
…成る程、文字通り純粋な無属性の一撃、と言う事なんだろう。威力もそこそこ大きい。
「氷の切れ味です!」
零夜が攻撃した部分に追い打ちをかける様にルーンで氷を纏った剣で斬りかかるイツキ。
そこそこ大きい一撃だったのか、ドラゴンが大きくよろけた。
「効いてる…!あともう一つ思い出した!このドラゴン、麻痺と睡眠のデバフ撒いてくるから気を付けて!ってことでBデータイレイザー!もうちょっとの我慢ですってね!」
Bデータイレイザーのコマンドを打ち込み、さっさと決着をつけた方が良さそう、と付け加えると、イツキも零夜も頷いてくれた。
「よぉ~し…!バフデバフなら任せろーい!!」
*
まあ数分前はそういう風に意気込んでいたよ。うん
「マジで……容赦ない、ナガミミ様…!!」
味方へのバフを切らさないように気を付けながら、キーボードにコマンドを打ち続ける。
ちら、と零夜の方を見ると胸に手を当てて息を整えているところだった。
「次から次へとドラゴンとマモノだらけ……世界プログラムにバグでも混じったかな…」
『大丈夫だ、仕様だ』
「……そんな仕様があっても困るのだけどね」
「というか過去一ハードなテストプレイじゃないかなコレ!」
さすがにつっこむしかなかった。